水先案内人インタビュー
バックナンバーVol.6
[藤原幸一さん(写真家、海洋生物学者)]
  写真家で海洋生物学者でもあり、博物学者・ナチュラリストはたまたベンギン博士など、いろ〜んな肩書きをお持ちの藤原さん。
 今回は南極ツアーにも参加していただき、とってもお世話になりました。 レクチャーでは南極の生き物や自然破壊について熱く語り、夜はバーで結婚についてまた熱く語る。そんな藤原さんにお話を聞いてみました。

Q:ピースボートに乗船することになったきっかけは何ですか?

A:3年くらい前にお話が来て、それまでは名前しか知らなかったですね。その時はいろいろあって断っちゃったんだけど、また去年も誘われて、それで南極ツアーに行きました。乗ってみて初めてピースボートの良さや主旨が分かったから今回も乗ってみようと思ったんですよ。

Q:今回の南極ツアーはいかがでしたか?

A:自分自身にとっても10回目の南極。観光としては最後の時期だったけど、何度も上陸できたし、巣立ちまぎわのたくさんのペンギンに出会えたのは感動だったね。ベンギンの本も書いているんだけど、場所と季節が違うと全く違う南極が見えるので、とても満足いく旅でした。
 それに今回も、同行者と意気投合できて、何かと手助けができたんじゃないかな、と思ってます。とてもアットホームな旅ができたと思うよ。

Q:藤原さんの撮るペンギンってすごく可愛いんですけど…ペンギンのどういったところに惹かれて撮り続けていらっしゃるんですか?

A:20年以上かけて南極から熱帯まで、地球上にいる全18種類のペンギンを見てきて、それぞれの持つ特徴や、それぞれが住む生息地や生きざまに魅了されてきたんです。
 それと同時に、地球上のペンギンは様々な危機的状況におかれている現状を目の当たりにしてきました。逆に、「ペンギン目線」で、地球環境の悪化を勉強させられたんですね。人間の近くで暮らすペンギンは悲惨だよ。ペンギンだけでなく、苦労している生き物は多いと思う。

Q:人間との共存は難しいんでしょうか?

A:──そうだねぇ、100年前なら100年に1種ぐらいしか絶滅することはなかったけど、今は1日に何種もの生き物が消えていってるんだよ。
 例えば、木を一本切っただけでも、その木にしかいない生き物がいたりして、それに付随して絶滅することに気づかなきゃいけないんだよ、僕たちは。
 とある雑誌では、「温暖化が続けば2050年、最大で地上の生物の35パーセントが姿を消してしまう」と発表されてたし。

Q:今、私たちにできることって何だと思われますか?

A:人口は増えたけど、昔、人間は自然のリズムで生きられたから、今の経済や生活様式を含めてしっかりと考え直してみないとね。石油に依存する現代文明をできるだけ早く変えなければ。そして、エコエネルギーである太陽や風力をもっと活用するとか…。

Q:そんな藤原さんの今後の活動は?

A:4月からアフリカに行って来ます。とあるテレビ番組の制作に関わることになってて…。あと、朝日新聞の土曜夕刊に写真の連載もはじまるので、ぜひ見てください。

Q:最後にメッセージをお願いします

A:旅は偉大だと思う。日本にいて、テレビやインターネットや本で得られることはたくさんあるけど、旅に勝るものはないと僕は思います。貴重な体験と土産話をたくさん背負って帰ってきてくださいね。
(聞き手:水野聖子)

「水先案内人インタビュー」バックナンバーへ | 44回クルーズレポートトップへ