■バックナンバーVol.2■
[フィリップ・マチングラーさん(アーティスト・アンバサダーメンバー)] |
今回は、サンフランシスコからやってきたアーティスト集団、「アーティスト・アンバサダー」(以下AA)のメンバーの1人、フィリップ・マチングラーさんにインタビュー。毎日お昼の時間には、彼の奏でるジンバブエの伝統的楽器の生演奏が流れています。
今回は、楽器のことから彼が取り組んでいるHIV/エイズ問題への取り組みまで、ワイン片手にたっぷりと語ってくれました。
Q:ピースボートを知ったきっかけなど教えて下さい。それと、ピースボートのどんなところに興味が?
A:サンフランシスコでボランティア活動をしているニーナさんが、ラジオでAAの募集をしているのを聞いたのがきっかけです。ピースボートのかかげる理念や目標を知って、こんな素晴らしいものはないと共感しました。自分でもいろんなところに旅行しましたが、アジアは初めてなんですよ。
船内はとにかく「初めてのこと」だらけ。寄港地に着くまでの時間も、とても大切だと思います。
Q:サンフランシスコでは「ヘルスギャップ」というNGOで、HIV/エイズ問題に取り組んでいるということですが──。
A:私の姉が、1999年にエイズを発症して亡くなったんです。それが、1つのきっかけになっています。最期の2〜3年間、闘病生活では本当に苦しんでいる様子を見ていました。それで自分でもHIVについて学ぼうと思うようになったんです。
アメリカに移住したときに関連団体の人と知り合い、活動を開始しました。ここでなら、自国の政府へも圧力をかけるなどの活動ができると思ったからなんです。
何をやるにしても、私の目の前には「AIDS」という窓ガラスがあるんです。どんな問題も、すべてがそれと関わりのある問題に見える。今後は、お金、セックス、性感染症など、タブーとされていることを自由に話せることが大切です。自由にAIDSのことを話すことが重要なんです。エイズという問題がなくならない限り、私は活動を続けていきます。
Q:いつもお昼に演奏してくれている、マチングラさん手作りの楽器は何というんですか?
A:「ンビラ(mbira)」といいます。これはジンバブエではショウナ族の伝統的な楽器なんです。私の家族はみんな音楽が大好きで、私にも音楽の遺伝子が組み込まれている、といった感じでしょうか(笑)
Q:船の上で色々な企画をなさっていますが、手応えの方はどうですか?
A:参加者の人はとてもポジティブですばらしいですね。でも時間が足りない…音楽以外のことをやっている人たちと、もっと交流を持ちたいですね。自分のやっている音楽と、他のことをリンクさせてみたいのです。
私は、「音楽はファシリテーターだ」と思っています。何らかのメッセージを音楽で伝える、そういう意識をもって音楽をやっているのです。
Q:今回はAAというチームでの乗船でしたね。ムンバイで下船されるマチングラーさんが、これからやりたいと思っていることは?
A:AAのメンバーと知り合って2ヶ月になります。これからも一緒に活動していきたいと思います。サンフランシスコでは船での経験を生かして、みんなの才能を生かしてクリアなビジョンを持って活動していけそうです。
(通訳:唐木峰 聞き手:三辻典子、野川環)
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[豊田直巳さん(フォトジャーナリスト)] |
今回初乗船となった水先案内人、フォトジャーナリストの豊田直巳さん。2003年3月のイラク戦争のさなかにもイラクを訪れ、船内ではそのときの写真をたくさん見せてくださった豊田さんに聞きました。
Q:ピースボートに乗船することになったきっかけは何でしょうか?
A:85、86年ぐらいから存在は知っていましたが、何をやっているんだろうと思っていました。でも、チャンスがあれば乗ってみたいとは思っていましたよ。きっかけは、スタッフからの「乗りませんか?」という電話ですね。仕事以外に旅行というのは山奥に渓流釣りに行くぐらいなので、旅行気分になれるかな、と(笑)
Q:今回、大きな企画を2回行ったわけですが、周囲の反応はいかがでしたか?
A:旅行気分で乗ってこられた方はにとってはショックだったようですね。自衛隊派遣に対する考えが改まったという方もいらっしゃたみたいですから。
『人道支援』、『復興支援』という言葉が一人歩きして、自衛隊が行って「いいことをする」と思っている人がまだいるんです。「武装した自衛隊が地元の市民に銃を向けることになる」という現実が見えていないんですね。
僕らの仕事というのは、現場に行かなければ写真が撮れないですからね。撮ってきた写真をみて、いままで与えられていた情報と違うと思ってもらえたなら──。それがみなさんのお役に立てたなら嬉しいですね。
Q:今回水先案内人パートナーと呼ばれる若者や船上で色々な人と接していかがでしたか?
A:何かしたい、社会に関わっていきたいと思っている人がたくさん乗っていることをヒシヒシと感じました。とても真面目だなと。「最近の若い者は」などと『若者一般』でまとめてはいけないなと思いました。ほかにもたくさんの人達との出会いがあり、夜更けまで飲んでしまったり──(笑)。自分にとっても新鮮で良い経験になりました。
Q:今後、乗船したときにやりたいことは?
A:ピースボートではそれぞれの寄港地に皆さんがカメラを持っていくわけですが、家族や友人に見せるために撮っている写真が、一方的に「撮る側」、「撮られる側」になっていたり、撮られる側の気持ち、肖像権を含めた人権を傷つけたりすることがあります。そうならないためにそうすればよいかというような講座をやりたいですね。
(聞き手:中園直樹)
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