水先案内人インタビュー
バックナンバーVol.1
[田中優さん(「未来バンク事業組合」理事長)]
 その道の"プロ"、水先案内人として乗船されている方々。彼らの人となりからピースボートとの出会い、今クルーズの感想などを伺います。
 第一回は、わかりやすく軽快な話が大人気の田中優さん。現役公務員の田中さんが、環境問題に取り組むようになったきっかけもお聞きしました。

Q:なんと、ふだんは「公務員」として働いていらっしゃるんですよね、何がきっかけで環境問題に取り組まれるようになったんですか?

A:ウチの次男が生まれたとき、チェルノブイリの原発事故があったばかりだったんですよね。その頃は環境問題なんか何も知らなかったんですけど、事故の影響で日本にもけっこう高濃度の放射能の雨が降っていて、それがたっぷり濃縮された牛乳を、ちょうど授乳期だったカミさんに「カルシウムが不足するから」、と飲ませていたんです。そうしたら次男が少したって入院しちゃって──。
 これはちょっと…と、原発問題をちゃんと調べようと思って。

Q:普段の仕事とは、どのように両立されているんですか? すごく忙しそうですけど…?

A:休暇をとって乗ってるだけだから(笑)。その程度の信頼関係があれば、大丈夫。最初にピースボートに乗る前から、役所の中では変な人だと思われていたから(笑)。協調性がないっていうんで、まわりの人たちもそれが当たり前だと思ってたんじゃないかな。

Q:最近は、特に地球大学のナビゲータとなることも多いようですね。今回の地球大学生たちはどうですか?

A:それはもう、積極性もあって、よかったなと思ってます。というのは、「学ぶ」ということは常に自分が主体的になって、自分自身の考えをつくるためにあるんです。だから、人の説を受け取ったりそれをそのまま話したり、ということはまったく「学び」にならない。
 人の説を信じるということはしないで、マルクスだろうが何だろうが、「こいつのいうことを聞いてやろう」ぐらいでないと学んだことにはならないと思うんです。ポジティブにアグレッシブにやっていく、ということが大事ですよね。

Q:なるほど、そんな優さんの話は、ピースボートでも「わかりやすい」と評判なんですが。

A:わかりやすいのは何故かというと、一見わかりづらい抽象的な問題を、徹底的に調べ上げているからだと思います。
 というのは、そこまでしないと具体的な対策っていうのは出てこないものだからです。だから、環境のためには手当たり次第なんでもやってみる、ということではないです。データを追っかけ続けて、現実に適応可能な形でやっていくということが大切だと思うんですよね。
(聞き手:久野良子)
[東京Gyangstar(ミュージシャン)]
 その道の"プロ"、水先案内人のインタビュー。今回はソウルバンド、東京Gyangstar。
 船内でゴスペル隊「ピースギャング」を発足させ、すでに2回のステージを成功させている。ラストライブを翌日に控えた彼らに聞きました。

Q:最初にピースボートに乗船されたのは、2年前のことですよね?

A:ピースボートに乗船していた友人からススメられたんです。私たちのほうも、「海の上で音楽ができるなんてめったにないな」という思いはあったし(笑)。それから、私たちが音楽を提供することで、参加者と一緒に何かを創りあげられるというところが面白そうだったし。

Q:今回も参加者に呼びかけて、船内でゴスペル隊を結成されましたよね?

A:そうそう。今回は大成功でした。若い世代の子だけに限定されないものができたなと思って。最高齢93歳の方も参加してくれて。参加者の3分の1ぐらいがここに入ってくれたんじゃないかな。
 こうなると、プロも素人も関係ないですね。むしろ、彼らとほんとうに「つきあえる瞬間」というのを、音楽が提供してくれたように思います。あとは、たくさんの人が一緒に何かをつくりあげていくというのは面白いですね。

Q:今クルーズでいちばん印象に残ることは?

A:どれも印象深いですねぇ…あえてひとつあげるとしたら、カウントダウンイベントかな。船内にいる、たくさんのアーティストが集まってひとつのイベントを創りあげたのはすごいですよね。きっと、まだまだ船内にはいるはずですよ、隠れたアーティストが(笑)

Q:では最後に、一緒に「ピースギャング」をつくってきたメンバーにメッセージを。

A:ここでやったことを、すべての「きっかけ」にしてほしい。クルーズはまだ始まったばかりだし、存分に楽しんでください。
 "東京Gyangstar"を含めた「ピースギャング」は明日で終わりかもしれないけど、「ピースギャング」にとってはそれが「誕生日」です。これからは「ピースギャング」として、どんどん発展していってほしいなと思います。
(聞き手:久野良子)

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