[ミールス/Meals]
インドといえばやっぱりカレー。日本では「インドカレー」とひとくくりにしてしまいがちだけれど、実は地方ごとの特色も豊かで、南インドのカレーは、北インドのものと比べると、辛みが強くてスパイシー。ミールスは、ご飯と数種のカレー、漬け物などを盛り合わせた、南インド特有の「定食」のこと。時にはバナナや椰子の葉っぱがお皿代わりにでてくることもある。食後にはミルクたっぷりのあまーいチャイ(紅茶)を。
[アッパム/Appam]
ケーララ米をすりつぶした粉とココナッツミルクから作られるパンで、ケーララの朝ご飯には欠かせない。チキンや野菜、卵をココナッツミルクなどで煮たシチューを添えて食べる。
[ドーサ/Dosa]
これも南インド名物。米と豆の粉で作ったクレープのようなもの。朝食などにもちょうどよい。中 に具を入れることも多く、カレー味のジャガイモを包んだ「マサラ・ドーサ」などが人気。
[バナナ/Banana]
マンゴー、ジャックフルーツ、パパイヤなど、トロピカルフルーツは何でも美味しいけれど、地味ながらお薦めなのがバナナ。ケーララ州の特産品のひとつとされており、小さいの、大きいの、黄色っぽいの、オレンジ色のなど、種類もさまざま。いずれも日本のものとはひと味違い、味が濃くて美味しい。また、バナナにちょっと甘い衣をつけて揚げた「エテェカ・アッパム」も人気のおやつだ。
[サリー]
あまりにも有名なインドの女性用民族衣装。身体にぴったりしたブラウスに、一枚の長い布を巻いて着こなす。サリー屋さんに行くと、ちょうど日本の呉服屋さんのような感じで、色とりどりの布地を出してくれるから、好きなものを選んでみよう。
地方によって伝統的なデザインや素材があり、ケーララの伝統的なサリーは「カッシャブ・サリー」と呼ばれ、質のいいオフホワイトのコットン製。金色の糸で縁飾りがされており、ケーララ以外ではほとんど見かけない。
もっと楽なものを、という人には、北インドの民族衣装、サルワール・カミーズを。丈の長いブラウスにパンツ、ショールがセットになったもので、気軽さがウケて最近ではインド全域で着られている。また、男性の民族衣装にはドーティと呼ばれる巻き布がある。
[スパイスセット]
ナツメグ、カルダモンなど、各種スパイスを少量ずつセットにしたものを、土産屋などで買うことができる。カレーを作る時に入れれば本格的だし、ものにとってはチャイの風見付けに使っても美味しい。
[シナゴーグとユダヤ人街]
旧オランダ総督邸であるマッタンチェリー・パレスの裏手に、「ジュー・タウン」──ユダヤ人街がある。中心になっているのは、中国製の染め付けタイルが美しいシナゴーグ(ユダヤ教の教会)。細い路地が伸びる周辺には、骨董品屋が軒を並べ、独特の雰囲気を作り上げている。
しかし、実際にはここで暮らしているユダヤ人はかなり少なくなっているという。イスラエルの建国以来、「自分たちの国」を求めてそこへ移住する者があとを絶たなかったためだ。特に若者は、このままインドに暮らし、インド人と結婚して「ユダヤ人」としてのアイデンティティを失うことを恐れ、ほとんどが出て行ってしまったという。いずれは、数百年の歴史を持つこのジュー・タウンに残るのは、小さなシナゴーグだけになってしまうのかもしれない。
[ボート・クルーズ]
この地方を訪れる人の目的は、なんといってもボート・クルーズ。小舟に乗って、恵み豊かな水郷地帯をのんびりとゆく。辺りに見えるのは、ケーララ(ココナッツの大地)という州の名前のとおり、青い空にすっくと伸びた椰子の木。岸辺を走ってゆく子供たち。不思議な形をした、この地方独特の漁法である「チャイニーズ・フィッシング・ネット」。マンゴーやココナッツを運ぶ小舟や、水浴びをする人達の姿に出会うことも。
[インディア・コーヒー・ハウス/India Coffee House]
南インド全域にあるチェーン・レストラン。イドゥリ、ドーサなど、南インドの伝統的なスナックが食べられる。人々が集まり、政治や社会についての議論をたたかわせる場所ともなっている。
[寄港地担当者より]
コーチンのあるケーララ州は、とにかく「色鮮やか」なところです。熱帯の日差しを遮ってくれる、豊かに茂った椰子の樹木、どこまでも続いていくかのような稲田、そしてその間をゆったりと流れる水路。小さなボートに揺られながら、頭上に広がる青い空を眺めて、水浴びをしている子供達に手を振ってみる。そんなことを繰り返していると、時間なんて忘れてしまいそうです。
ケーララは、あなたが持つ「インド」のイメージを打ち砕いてくれる、そんな場所なのです。豊かな自然とあったかい人々に出会って、身も心もゆったり開放してみてください。
(井上誠)
コーチン寄港地インフォメーション