7月23日 テロとヴェールとイスラーム〜翻訳の政治学〜/岡真理(京都大学助教授)
水先案内人・岡真理さんの最終講座。「テロ」や「ジェンダー」「イスラーム」など3つのキーワードをテーマに、出来事を「翻訳」して伝えるメディアにより、私たちの意識がいかに形成されてしまうか、どういう目を持っていなければならないのかということを真剣に語ってくださった。ここでは、特にイスラーム世界の女性たちについて語られた部分を紹介する。
「イスラーム世界の女性たちが着用している『ヴェール』。それは、イスラーム世界の女性への抑圧の象徴としてのみ語られ、彼女たちの『ヴェール』の多様性について語られることはほとんどありません。
女性たちが抑圧されていないわけではけっしてありませんが、それは国内外の政治・経済・社会や、それらを取り巻くさまざまな要因が絡んだ問題なのです。にもかかわらず、あたかも女性たちへの抑圧はすべて『イスラーム』が原因であるかのように言われています。つまり、“イスラーム世界の女性はイスラームという宗教の犠牲者である”という見方をされてしまいがちなのです。
この問題点は、『自由世界にいる私たち』と『イスラームという我々には理解しがたい宗教に抑圧されている彼ら』とを分け隔て、真の問題を隠蔽するものにほかなりません。私たちは、出来事の背後にあるものにも目を向け、批判的な目を持って報道に接しなければなりません。パレスチナ問題も、『テロ』という言葉も、『イスラーム』に原因を求めてしまうと、問題の本質を見誤ってしまうのです。」
(本田千津子)
7月23日 LOVE & PEACE Vol.1〜アフガン & USA〜/岡野弘幹(ミュージシャン)
音楽を通し、これまで様々なピースアクションに関わってこられた、水先案内人の岡野弘幹さん。1回目の今日は、紛争とタリバン政権下で「音楽のない世界」にいたアフガニスタンの子ども達へ楽器を届けた活動について、そして広島原爆の残り火をニューヨークの「グラウンド・ゼロ」に届けた時のことについて話していただいた。講座の後半にはミニコンサートも行われ、集まった人たちは真剣に耳を傾けていた。
「僕は、どう考えても戦争はまちがっていると思います。タリバン政権下にあったアフガニスタンでは、空爆で少数の人の命が失われた代わりに、タリバン政権も滅ぼされた。だからこれは正義の攻撃であったという人もいます。でも、それはおかしいことではないですか?戦争で一番傷つくのは子どもや弱者です。現地では被害にあった子ども達がたくさんいます。この責任はいったい誰がとるのでしょう。」
(前田祐佳)
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