船内ニュース
7月11日 なぜ遠い、パレスチナ人の死/岡真理(京都大学助教授)
 モンバサから乗船された水先案内人・岡真理さんの初めての講座。アラビア語の挨拶「アッサラーム・アレイクム(こんにちは)」とともに始まったこの講座は、難民キャンプで暮らすパレスチナ難民をあつかった『夢と恐怖のはざまで』というドキュメンタリー映画を交えたもの。パレスチナで毎日のように起こっている「事件」を、日本の私たちにぐっと突きつけるお話だった。
 「9.11の事件を、メディアは『人間の歴史に長く記憶される悲劇』と形容しました。しかし、1982年の9月16日から18日の42時間に2500人以上のパレスチナ人が虐殺されたことが人々の記憶に残らないのは何故なのでしょう?
 『9.11』で亡くなったたちについては、それぞれひとりひとりの物語が語られています。が、パレスチナ人の死は『難民』というある種の特殊な人々として括られてしまっています。このように記憶の埒外に置かれてしまう人の死を、私たちが忘れないこと。まずはそれが必要なのではないでしょうか。」
(佐藤祐仁)
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