船内ニュース
8月2日 9.11遺族からの声〜米国は他の国よりも暴力的なのか〜
/バレリー・ルーチ・ニ・ガブスガー(ピースフル・トゥモローズスタッフ)
 2001年に起こった9.11事件。その遺族が結成したNGO「ピースフルトゥモローズ」のメンバーであるバレリー・ルーチ・ニ・ガブスガーさんの講座が開かれた。ピースフルトゥモローズは、米国政府の「武力による報復」に対し反対の声をあげている。彼女は、9.11事件で甥を亡くし「愛する人たちを戦争の道具にするのは許せない」と、ピースフルトゥモローズに参加した。
 「アメリカは、2年の間にふたつもの戦争をおこしました。そのため、世界中から『アメリカは暴力的だ』という見解がなされているが、果たして本当にそうなのでしょうか。私たちアメリカ人も、平和を求めているのです。背景を知らないまま、アメリカは暴力的だとは考えないでほしいと思っています。
 9.11事件以降、時間の経過と共に、私たちは真実に目を向けるようになりました。『この戦争は道徳的に正しい』と信じ込ませるナショナリズムはなぜ生まれたのか、それはメディアによる情報操作も原因のひとつだと思います。つまり、『正しくない』情報をそのままかみ砕かずに受け取り、それが危険な固定観念になっていったのです」
(浅野裕美)
8月2日 日本にとって国連とは何か/河辺一郎(国連研究者)
 リスボンから乗船された水先案内人、国連研究者・河辺一郎さんの初講座。河辺さんによると、日本政府は自分たちが矢面に立たないよう、巧妙に『国連』の名を利用しているという。その経緯をふくめ、たくさんの資料を用いつつ、非常にわかりやすく話してくださった。
 「米・英の連合軍がイラクを攻撃する際、日本政府は支持を表明しました。また、『国際貢献』の名のもとにテロ特別措置法・周辺事態法などを成立させています。
 これらを見ると、日本政府は国連を『憲法で規制された軍事行動を行うための言い訳』として利用しているらしいことが見えてきます。しかし、国際貢献をうたっているにもかかわらず、人権問題や核軍縮問題・国際刑事裁判所を設立させる問題については、日本は非常に後ろ向き。国連が武力攻撃を非難したときなどは、国連を無視するという内容のコメントを発表しているのです。」
(本田千津子)
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