12月20日 シンガポールの歴史教科書/和仁廉夫(ジャーナリスト)
歴史教育はどのような年齢で、どのような教育をすれば国益になるかを考えて行われている。今回は、かつて日本軍の支配下に置かれていた時代もあるシンガポールの歴史教科書を映写しながら和仁さんにお話ししていただいた。
「シンガポール人は、着物を着替えるように住むところを替えます。また、たとえ国立の医学部を卒業しても国内ではほとんど開業しません。それは国土や人口の問題によるところもありますが、『郷土意識』が低いからでもあります。中高教育も海外で受ける人が多いため、海外へでる前の小学校の段階で、大変な時代を迎えた第二次世界大戦前後のことを勉強しているのです。
シンガポールの歴史教科書は大変良くできていると思います。たとえば、原子爆弾投下のことは日本の視点でも記述されており、できるだけ偏らないように気をつけてつくられています。また、児童に考える部分を多く与えるようにしており、結論を導いてしまわないように書かれています。もちろん、これがシンガポールすべての人の歴史観ではありません。が、その教科書を紹介することで、『歴史教育』とは何なのかを、皆さんにも是非考えて頂きたいと思います。」
(中村真美)
今、アジアのNGOが熱い!
現在船内では、ASF(東アジア社会フォーラム)という国際会議が行われている。これは、来年1月にブラジル・ポルトアレグレでおこなわれるWSF(世界社会フォーラム)にむけて、東アジアにおける軍事・環境など、さまざまな問題をどうやって解決していくかということ、そして、アジア共通の新しい価値観をつくっていこうというテーマで話し合われている。参加しているのは、東アジア各国(中国、韓国、台湾、香港)のNGOで活動する計6名。彼らには、各NGOの活動を紹介していただいた。ここでは、中国と台湾から参加したゲストのコメントを紹介する。
グアナン・ゾウ(中国/環境NGO「地球村」)
「いま中国では、急激な消費の増大が問題になっています。今まで私たちは『質素な生活』を大切にしてきた私たちが、消費増大による公害などの問題もおこっているからです。私たちの国は、世界でN0.10に入るくらい環境汚染が問題になっていますが、お金でそれを解決することはできません。大切なのは、その問題に対して人がどう動くかなのです。それが、私がNGOで働く理由のひとつです。若い世代でこの世の中を変えていかなければいけないと思います。皆さん一緒に頑張って行きましょう。」
ベイ・リー(台湾/ピースタイム)
「私たちは、3つの方法で活動を進めています。いま現在は、『世界中で起きている紛争についてのインフォメーションがどういうふうになされているか』という研究、そして小学校から大学までの先生たちを集めて『平和教育』・『国際協力』を学ぶ場をつくることが中心です。また、大学生を対象としたユースキャンプをおこなって、海外に出かけ、そこに暮らす人と文化交流ができるような『青年文化大使』を育成していきたいとも考えています」
(平野弥生)
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