9月29日
イスラエル・パレスチナQ&A/ウリ・ブラウ(IS)、ワリッド・ナサール(IS)
これまでにも何度かテーマになった「イスラエル・パレスチナ問題」。今回は、ISのウリ・ブラウ(イスラエル出身)、ワリッド・ナサール(パレスチナ出身)と参加者との質疑応答が中心となった。
Q:
紛争の歴史は子どもたちにどう教えられているの?
ワリッド:
「パレスチナの多くの学校で使われている地図には、『イスラエル』という名前が載っていません。また、家庭では、ユダヤ人入植地は『私たちパレスチナ人の土地』と子どもたちに教えているようです」
ウリ:
「イスラエル建国記念日は、パレスチナでは『受難の日』と教えられているそうです。また、学校では『パレスチナに土地を渡すことは、再び国のない民になることだ』という教え方をしていますね」
Q:
イスラエル軍による軍事侵攻・そしてパレスチナ人による自爆攻撃に対して、双方の市民はどう思っているの?
ワリッド:
「もちろん、軍事侵攻には大きな恐怖を抱いています。さらに、イスラエルが攻撃すると、パレスチナ人による報復も続くのです。何よりもこの『暴力のサイクル』が続くことに市民は疲れています」
ウリ:
「イスラエル市民の恐怖は、例えていうなら、日本で起った『地下鉄サリン事件』の時に日本人が感じた恐怖の数十倍のものです。しかし、恐怖を抱く原因のひとつは、双方の市民が出会うことがなく『お互いを知らないから』ではないでしょうか。私たちふた りも、帰国後はなかなか会えなくなります。けれど何処にいても、互いに手を取りあっていきたいと思います」
(小林英里)
戦争とプロパガンダ/ヤスナ・バスティッチ(ジャーナリスト)
ピースボートスタッフであり、国際ジャーナリストとして活躍する。この講座では、戦争の時、または国が戦争を起こしたいと思っている時にメディアはどう操作されるのか・どんな宣伝がなされるのか、ということを語ってもらった。
「みなさんは、『プロパガンダ』という言葉をよくお聞きになると思います。プロパガンダとは、政治的意図を持つ宣伝のこと。ある組織がメディアを使い、何年もかけて人々の間に浸透させていく、計画性のあるものです。それは、情報を受け取る人々に危機感や怒り、憎しみを抱かせ、敵をつくりだします。まさに、人々の意識を戦争へと向かわせるのになくてはならないものなのです。
過去に起こったこととしては、ユダヤ人の大虐殺・旧ユーゴ紛争…それらもプロパガンダが人々を駆り立てたからこそ起こったものだといえるでしょう。人々はテレビのニュースを見て、『もう、こんな状況を黙って見てはいられない。自分が何かをしなくては』と思い込み、志願兵や差別者へと変身する。それはまさに、メディア・そしてメディアを操作する組織の『思うつぼ』なのです。みなさん、メディアの言うことを鵜呑みにせず自分自身でよーく考えてみてください。そして、ジャーナリストである私の言うことも、信用しないでください」
(湯本美麗)
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