船内ニュース
9月26日 講座「イスラエル〜隠された真実」/ウリ・ブラウ(IS)
 イスラエルで独立系新聞の記者をしている、IS(国際学生)のウリさんによる講座。イスラエル軍の占領・軍事侵攻と、パレスチナ 人の自爆攻撃が繰り返され、ますます状況が悪化する中、ウリさんはイスラエル軍によるパレスチナ人への人権侵害などについて報道 に取り組んでいる。そんなウリさんが、この暴力のサイクルを解決する方法やメディアの役割について、自分の考えを語った。
 「イスラエルとパレスチナは、長い間争いを続けています。争いの繰り返しにより、より『恨み』や『恐怖』が高まっています。しかし僕は、過去に捕らわれすぎず、未来に重点を置くべきだと考えます。イスラエルは、パレスチナの占領をやめて軍を撤退させる べきです。そして、エルサレムは双方の首都とするべきだと考えます。どちらも、妥協することが大切です。
 イスラエル人として、パレスチナに対するイスラエルの軍事行動を残念に思い、罪深く感じています。しかし、パレスチナ人による 自爆攻撃を正当化することはできません。毎日、自爆攻撃に対する恐怖を抱えて僕達・イスラエル市民は生きています。しかし、ここで感情に流されることなく、未来を考えていかなくてはいけません。
 イスラエルでは報道の自由が保証されていると言われていますが、軍と安全保障関係の情報については、軍の検閲を受けなければなりません。軍の情報は、通常スポークスマンを通して伝えられますが、僕は軍内部や兵士達から直接情報を得ています。残念なことに、イスラエルの多くの国民が真実を知りたがりません。しかし僕は、できる限りの真実を民衆に伝えていきたい。僕が情報を流すことによって、その情報を得た人たちが、『自分なりの判断』ができるようになると思うからです」
(関口裕美)
3つのイスラム社会を垣間見る
/エミン・ユルマズ(トルコ出身・元IS)、ザイナブ・シャー(パキスタン・IS)
ヤスミナ・ハッヂカリッチ(ボスニア出身・IS)
 これまで何度かテーマに挙がっていた「イスラム」。しかし「イスラム教」とひとことで言っても、細かい決まりごとになると国によってさまざまだ。今回はエミン・ユルマズ(トルコ出身/元IS)、ザイナブ・シャー(パキスタン/IS)、ヤスミナ・ハッヂカリッチ(ボスニア出身/IS)の3名が、「大学」「結婚」「女性の地位」などいくつかの話題を絞って、それぞれの国での「イスラム事情」を語ってくれた。
ヤスミナ:「ボスニアは多民族・多文化国家であり、宗教の選択は自由です。人々は、それぞれの持つさまざまな宗教を、お互いに認め合って生活しています。そのため、政治・軍隊・国体にイスラム教の影響はありません」
ザイナブ:「パキスタンは、正式名を『パキスタンイスラム共和国』といいます。要するに、すべての面でイスラムの影響は強い。というより、すべてが『イスラム』から始まるのです。神のほかに主権を持つものはいないと考えられ、イスラム教徒ではない人に対してもイスラム法が適用されます」
エミン:「トルコでは、ヨーロッパの思想をとり入れた国づくりをしています。そのため、法律に関してはイスラム教の影響はありませんが、その社会構造や文化・習慣にはイスラム教の影響が大きいですね。このように、イスラム教自体はすごく柔軟な宗教なので、国によって形が違ってくるんですね。ただイスラム教の歴史を見ると、千年もの間ずっと『生き残り戦争』をしているといっても過言ではありません。そのため自然に、防衛意識や自分たちの独自性を守っていこうという意識も強くなるんですよ」
(小林英里)
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