船内ニュース
9月25日 戦下のラジオ局から/ワリッド・ナサール(IS)
 パレスチナのラジオ局で働くIS(国際学生)のワリッドさん。この講座では、ジャーナリストである自分自身の体験を中心にして、今もイスラエル軍の占領下にあるパレスチナで起こっていること、それに対する彼の思いを語った。
 「パレスチナを占領しているイスラエル軍によって、パレスチナ人の行動は、監視・制限されています。これは明らかに人権侵害です。イスラエル軍は検問所を作って、通る人一人一人をチェックしており、そこを通り抜けるのはとても困難なのです。そこでは、救急車でさえ止められてしまうのですから、仕事や学校へ行くこともできません。また、僕のラジオ局もイスラエル軍に襲撃されてしまいました。そして僕は逮捕され、その後10日間も監禁されました。イスラエル政府は、パレスチナ民営メディアの破壊を決めたからです。その為、僕がもどって来た時には、ラジオ局の機械は全て破壊されていました。僕の上司が、ラジオ局の前で泣いていたのを今でも覚えています。今では、僕の働くラジオ局は復旧していますが、再びこの様な事が起こるのを防ぐため、ニュース報道は中止せざるをえない状況です。今は『非常時下で生き残る為の情報』のみを放送しています。僕は、イスラエル軍の占領が大きな問題であり、まずはこれが解決されなければ、『平和的解決』は望めないと考えています。武力で解決するのではなく、お互いが机に座ってよく話し合い、妥協案を出し合う事が大切です。」
(関口裕美)
もっと知りたいエリトリア/イサイアス、バシル(NUEYS・エリトリア青年同盟)
 エリトリア出航翌日。参加者は実際にエリトリアに行ってみて、どんなことを感じたのか。そこで、『もっと知りたいエリトリア』と題した質問会がおこなわれた。参加者からの数々の質問に答えてくださったのは、昨日乗船された、エリトリアの若者たちを中心とするNGO・エリトリア青年同盟(NUEYS)のイサイアスさん、バシルさん。特に、バシルさんが独立戦争での戦闘を経験しているということもあり、話題はその体験談からエリトリアの教育についてまでと、幅広いものとなった。
 バシルさん:「独立戦争では、主に茂みから相手を撃つ、というゲリラ戦をおこなっていました。それ自体も難しいことだったのですが、もうひとつ大変だったことがあります。それは、他国から支援を受けていなかったことです。大国からの支援があったエチオピアでは、兵士たちの食糧などに困ることはなかったかもしれませんが、支援を受けなかったエリトリアでは衣類も食糧も乏しく、非常に厳しい状態での戦いになったのです」
  イサイアスさん:
「エリトリアには9つの民族がありますが、それぞれがみな『エリトリア人』というアイデンティティーを持っています。また、英語を話せる人が多かったという話がでてきましたね。
  エリトリアでは、小学生はそれぞれ部族の言葉で学び、中学校以上は英語で授業を受けているんですよ。義務教育は中学までですが多くの人が高校まで進学しています。そして18歳以上の男女には、軍事訓練を含め、戦争によって破壊された町を再建するための仕事が義務づけられています。もちろん、他国から技術を学ぶ、ということは大切です。しかし、頼るだけではなく『自分たちで国家再建をやっていこう』というのが、私たちの基本姿勢なんです」
(小松美香)
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