9月24日 イスラム教 for beginners
/エミン・ユルマルズ(トルコ出身・元IS)、木瀬貴吉(ピースボートスタッフ)
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イスラム教徒は世界中に12億人いるという。また、今クルーズにも、何名かのイスラム教徒が乗船している。しかし、イスラム教そのものについて、私たちはどれほど知っているのだろうか。そこで、トルコ出身のピースボートスタッフで、イスラム教徒でもあるエミン・ユルマルズ、そしておなじくスタッフの木瀬貴吉による対談形式で、日本では意外に知られていない「イスラム教」の基礎知識が紹介された。 |
エミン:「『イスラム』には、『平和』と『神に身を任せる』というふたつの意味があります。イスラムは、キリスト教やユダヤ教に反する宗教ではなく、その証拠に、イスラム教典・コーランにもキリストやモーゼが立派な預言者として登場しています。用語として有名なのは『ジハード』と『過激派』でしょうか。11世紀にヨーロッパから十字軍が攻めてきて以来生まれた言葉『聖戦(ジハード)』ですが、本来の『ジハード』とは、他人とではなく『自分との戦い』という意味なんですよ。また、よく聞く『イスラム過激派』とはイスラム教徒の中の極右翼の人たちです。1967年の第三次中東戦争において、欧米をバックにつけていたイスラエルにアラブ世界が負けて以降、増えてきたと言われています。
ただ、イスラム教が世界中に広がったのは単なる偶然ではなく、大きく3つの理由があります。ひとつはその「柔軟性」。コーランには「宗教に強制なし」と書かれていますし、イスラ
ム国家であったオスマントルコでも、国民はイスラム教を強制されることはなく、多くの 民族が共存していました。2つ目は、資本主義と『楽して儲けること』に対する『代替案』となったから。コーランは物の所有を認めていますが、お金のある人が貧しい人に、イスラム教の税金として寄付する『喜捨』という義務があります。3つ目に、7世紀にアラビア半島が繁栄したと同時に貧富の差が広がったこと。貧富の差が大きくなると、宗教に救いを求める人が多くなるからです。今現在、この7世紀と同じような状況があり、イスラム教はまた世界に広がりつつあります」
(小松美香)
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