9月4日
いま地球で何が起こっているのか/桃井和馬(フォトジャーナリスト)
水先案内人・桃井和馬さんの講座第一弾。「もともとは戦場カメラマンになりたかった」という桃井さん。どんなことがきっかけで「地球環境」をテーマに撮り続けるようになったのか…ご自身が撮影された数百枚のスライドを見ながらのお話になりました。
「1994年、ルワンダ。ツチ族とフツ族との間で争いが起こり、100万もの人々が虐殺されました。しかし、この虐殺はあくまで『結果』なんです。実は、この50年も前から、ルワンダでは森林伐採がどんどん進んでいたんですね。森がなくなるということは、土壌が弱くなって、土が流されていきやすくなる。それによって土壌はやせていき、人々は穀物などの食物を作ることが出来なくなり、残された食べ物も少なくなっていきました。それは人間にとって、大きなストレスになります。ストレスがどんどんたまっていった結果、ほんのささいなことをきっかけとして虐殺や暴動が起こったのです。
僕は最初のうち、『戦場カメラマン』になりたかったんです。けれど、戦争というのはいわば最悪の『結果』なわけです。だったらなぜ、戦争は起こるのか?なぜ人々にストレスがたまっていくのか?その、もともとのところを追究したい。そう思って、僕は「地球環境」をテーマに撮るようになりました」。
(藤本映子)
桜とサンパギータ/レイ・ベントゥーラ(ジャーナリスト)
今クルーズ初の水先案内人の講座は、フィリピン出身のジャーナリスト、レイ・ベントゥーラさん。講座タイトルにある「サンパギータ」とは、フィリピンの「国花」。この花を売って生計を立てている子どももいるという。
今回は「従軍慰安婦」や「臓器売買」などのテーマで、レイさん自身が撮影したビデオを上映。いままで知らされなかった、「日本とフィリピンの関係」について考えさせる講座となった。ここではレイさんが「臓器売買」について語った部分を紹介する。
「『臓器売買』は、マニラ中心部にあるパセコ村で、20年も前から『お金儲け』の手段となりつつあります。提供者(ドナー)は、自分の臓器を25万円前後で仲介人に売り渡すわけですが、実際に「臓器を買う側」は、一千万円もの大金を支払っているのです。しかもその差額は、仲介人と手術の執刀医に分けられるのです。そして、仲介人の多くは日本人。一番多額の金額を支払って臓器を買うのも日本人です。
今日はたくさんのビデオを見てもらいました。けれど私は、これを使って何かメッセージを訴えたいわけではありません。ただ皆さんにこの様な事実があることを知っておいてほしい。そして、何かを考えるきっかけになればいいと思ったのです。皆さんはどう思いますか?」
(小林英里)
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