船内ニュース
10月14日 革命に生きた男〜キューバの理想と現実/小林隆平(ギタリスト)
 次の寄港地キューバに向けて、水先案内人の小林隆平さんによる講座『革命に生きた男〜キューバの理想と現実〜』。キューバ革命の立て役者である、チェ・ゲバラの話を中心に、キューバがたどった歴史を語って頂いた。
 「ゲバラは、当時では進歩的だった社会主義的思想を持つ母親の影響を受けて育ちました。また、喘息持ちだった彼にはいつも、死の覚悟があったんです。スペインから独立後も事実上アメリカの支配下に置かれ、米国人歓楽街のようだったキューバでは、貧富の差も大きかった。ゲバラは、この社会を変えるには、米国に干渉されない為にも暴力的な革命が必要だと考えたんです。そうして、今なお独裁が続くカストロと組み、キューバ革命を成功へと導きます。
 カストロ政権のもと、ゲバラは大蔵大臣を担いますが、次第に仕事への疑問が生じ、意欲を失っていきます。彼は政治家には向いていなかったんです。カストロにとっても煙たい存在となっていたゲバラは、あの有名な『別れの手紙』を残し、ボリビアの革命運動へ身を投じます。しかしこの手紙は、カストロがゲバラに書かせたものであり、カストロの一種の裏切りと言えるものでした。
 カストロ政権樹立後、米国による経済封鎖により迎えたキューバですが、最近は外国資本が導入され、経済自由化の動きも見られます。南米全体の問題でもある『貧富の差』、これをなくす為に立ち上がったゲバラですが、結局は、革命は破壊であり、逆に政治は創り出すことです。革命家が必ずしも優秀な政治家になれるとは限らないんです。」
(関口裕美)
「NGO」なんじゃそりゃ!?/福代孝良(日本ブラジルネットワークスタッフ)
 最近、よく聞く言葉だけれど、その実態は知られていない「NGO・NPO」ってなんなのか?水先案内人・福代孝良さんが、スライドを交えながら解説した。
 「世界中に約25万団体あるといわれる『NGO」。NGOというと即、『立派ですね』『生計が成り立つのですか』『うさんくさくて嫌』などと言われます。しかし、一口に『NGO』といっても、実ははっきりした定義はないのです。ただ一般的には、国内で、政府の対策が非効率的だったり、多様なニーズに対応できなかったりするとき、それを補う活動をするのが『NPO』、国境を越えて国際的な問題にとり組む団体を『NGO』と呼ぶことが多いです。また、『NPO』の定義として、正式に組織されていること・民間組織であること・利益配分しないこと、自己統治組織であること・自発的であることの5つをあげることもあります。
 小さな団体では資金不足やアマチュア性、意志決定の不透明さ等、さまざまな問題もあります。これらを克服し、本来のNGO・NPOの良さを発揮させるためには、意志決定プロセスの明確化・説明責任(会計・評価)等々団体の制度化が必要となっています」
(小松美香)
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