10月3日 EU現代移民事情
/アイシャ・ソダーニ(NGO活動家)、アネット・エルダー(弁護士)
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毎年50万人もの難民申請者がいるというEU(ヨーロッパ連合)。次の寄港地マルセイユは、特に北アフリカからの移民が多く住む街でもある。そこで、特に移民女性への支援活動をおこなっているアイシャ・ソダーニさんと、移民・国籍・亡命問題を専門とする法律事務所に勤務する弁護士・アネット・エルダーさんに、「EUの移民事情」を話していただいた。
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アイシャさん:「今年4月、フランス大統領選挙において右翼政党『国民戦線』のルペン党首が決選投票に勝ち進みました。ルペンは『外国人を受け入れない』という方針で立候補した人で、このことは移民たちにとって脅威でした。そこで、多くの市民たちが反ルペンのキャンペーンを実施。ラジオなどを使ってルペン氏に投票しないで欲しいと訴えた市民団体もあります。
その結果、決選では大差で現職候補のシラクが当選したのです。どの国においても移民排斥の動きは常にあります。しかし、あきらめず闘っていくことが大切なのです」
アネットさん:「EUでは、祖国での人権侵害を逃れてきた難民申請中の人々が、そこでまた虐待や拷 問を受けるというケースも多発しています。また、国連の難民条約では、人々が難民になるに至った理由、その人権侵害の内容についての証明は必要ないとされていますが、実際はそれなしでは申請じたい難しくなるのが現状です。
ヨーロッパでは、難民をすべてひとくくりにして見ていますが、難民申請者もひとりの人間なのです。難民ひとりひとりの事情や背景をきちんと考慮すると共に、彼らを受け入れることが労働力・税金の面からみても必要なことだと早く気づくべきです」
(西野恵美)
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