船内ニュース
11月27日 『対話』〜先住民からのメッセージ〜
/計良光則(NGO「ヤイユーカラの森」主催)
 これまで、各地の先住民族について考える講座が行われてきたが、日本にもアイヌという先住民族がいる。シドニーから乗船された水先案内人・計良光範さんは、「アイヌを知ろうとするなら自ら体を動かせ」をモットーに、アイヌの伝統模様の刺繍教室や、各国の先住民族との交流などを行っている。第1回目の講座は、世界の先住民族の中のひとつとしての「アイヌ」を考えるという内容だった。
 「それまで、少数民族と呼ばれ虐げられていた人々が、『先住民族』として先住権を訴えるようになったのはごく最近のこと。現在、世界の約半数の国々に、先住民族と呼ばれる人々が住んでいます。最近ではマオリをはじめ、各国で先住民族の権利が認められつつあります。その一方で、アボリジニのように存在を無視された歴史をもつものもいます。それと似ているのがアイヌです。
 日本政府は、国際的に先住民族の定義がはっきりと定められてないことを理由に、日本に先住民族が居るかどうかは何とも言えないという立場をとっています。一方でアイヌの側も、言語や文化を受け継いでいる人が少なくなり、日本の先住民族として何を訴えていくのか明確にできずにいます。『人間』とはただ1つの人種しか存在せず、民族として肌の色や文化が違うだけではないでしょうか。同じ仲間である人間として、先住民族のこと、そしてアイヌのことをもっと知って欲しいと思います。」
(葛原潤)
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