11月23日
トラウマ/スージー・バーク(心理学者)
心理学者スージー・バークさんの講座も3回目。今回は、スージーさんがどのように心に傷を持った人に接しているのかを、実例を挙げ、デモンストレーションも交えて説明してくれました。
「トラウマというのは、身体的虐待や大切な人を失ったとき、爆破テロなどの暴力的事件を目の当たりにしたとき、ガンなどの病気の宣告を受けたとき、大地震の後など、さまざまなきっかけで抱えてしまうものです。国を追われた難民が、さらにそこで留置 所に入れられることによりトラウマを持つということもあります。
心理学者としてトラウマを持つ人に接するとき、まずトラウマの原因について話してもらいます。そして、いま何を感じているのか を話してもらい、そのように感じることが『普通』であると伝えます。心の中にとどめておくよりは、話すことではき出してしまった方が良いように思います。
次に、仕事や学校、家族のもとに戻り、普段の生活をすることで、『自分自身をコントロールできる』と感 じてもらいます。そして、トラウマになったきっかけそのものは、自分にとってどんな意味があるのか、ということを探るのです。ガンを宣告された人なら、『一日を大事に生きよう』というようなことです。この時、心理学者としてアイデアを押しつけるようなこと はしないで、相談者自身に決めてもらうようにしていきます。」
地球に生きるものたち/高野孝子(冒険家)
水先案内人の冒険家・高野孝子さんが、今までに訪れた南極、アマゾン、北極で撮った映像を交えながら、その土地の自然に根ざした生活を送る人々を紹介するとともに、現在進みつつある『越境汚染』についてわかりやすく語ってくださった。
「南極や北極は、実は生命にあふれています。氷の中の空気が弾ける音は、言葉にするのは難しいくらい不思議な音。その音を聴いていると自分の命が他とつながっていることを感じます。
また、アマゾンでは、地元の人に助けられながらの旅でした。彼らには、何が あっても自分たちの力で生きていけるという自信がありました。
地域の風土・気候によって自然のサイクルは異なるものであり、同様に自分の価値観と他人の価値観も異なります。
自然の中には 『生態系』というものがあり、人間にとって利用価値が無いからといって壊すと、大切なものまで壊れてしまうことがあります。南極や北極ではバクテリアの活動がおそく、他の地域ではすぐ分解されるものもここではそうはいきません。風は地球を回っていて、他から運ばれまき散らかされても、それを分解できる土地とそうでない土地があるんです。 この越境汚染には日本も関係しています。私たちの豊かさのつけは、どこにいっているのでしょう?北極の食物連鎖の頂点であるシロクマの雌雄同体が見つかるほど野生動物への被害は大きく、地元の人々はその野生動物を食べなければ生きてはいけません。私達一人一人ができることは多く、それによって越境汚染の流れも変わってくるはずです。」
(関口裕美)
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