船内ニュース
11月22日 人種差別がもたらす法の不正義/ミック・マーティン
 水先案内人のミック・マーティンさんによると、オーストラリアでは、刑務所や拘留所で亡くなる人の数は、白人よりアボリジニの方が多いという。このほかにも、住宅・教育・健康保険など、さまざまな面で「人種差別」がある。この講座では、『人種差別について』の討論も交えながら、その現状に対してどんな取り組みをしているのかをミックさんが語った。
 「拘留中に亡くなった人の半数が、白人社会に同化させるために、幼い頃に保護者から切り離されて白人家庭で育ったアボリジニです。これは、『アボリジニ』にとって『虐殺』にも等しいものです。
  拘留中に亡くなったアボリジニの死因を調べるため、調査委員会 が設立されましたが、調査後10年経っても、刑務所や拘置所で亡くなる人数には変化がありません。私たちは、異なる人種がその違いを認め、公平な社会を共に歩くための解決方法を探しています。
  そこでは、差別する人の心を変えることができなくても、『他人がど う思っているかを考えるきっかけをつくる』ことが仕事です。私は大学まで進んだということは、アボリジニの中でもある意味『特権』を持っているということ。なので、自分が知り、学んだことをほかの人々に伝え、同じように大学までいくアボリジニを育てる責 任があります。『植民地』となったのは確かに白人のせいです。しかし、私たちは、そこから自力で抜け出す必要があるのです。」
(井上伊都子)
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