11月21日
感情とのつき合い方〜怒り対処法〜/スージー・バーク(心理学者)
心理学者として移民、難民などの社会問題に取り組んで、平和を促進する心理学者の会での活動も行っているスージー・バークさんに怒り対処法についてのレクチャーをしていただきました。
「怒りの感情を持つことは、悪いことではありません。怒りの感情はうまくいっていないことに気づくのに役立ち、状況を変えるきっかけになります。怒りの下には恐い、恥ずかしい、寂しいなどの感情が隠されているかもしれません。怒りを爆発させると自分や他人を傷つけるかもしれません。また、怒りを閉じこめると精神的に病気になるかもしれません。だから、怒りの感情と上手くつき合っていくことが必要です。
自分が期待していることと逆のことが起こる、これは怒りの感情が起こるきっかけのひとつです。また、胃が痛くなる・心拍数が上がるなど身体のサインで、自分が怒りを感じていると気づくときもあります。このようなサインが出たときには、爆発する前に対処することが大事です。深呼吸をしたり、散歩をしたりしてリラックスするほか、『私は大丈夫』というプラス思考で自分と対話をすることも有効です。これらの方法は簡単なことですが、大事なのは実際にこれをするかどうかなのです。」
(西野恵美)
白いオーストラリア黒い歴史/ミック・マーティン、ポール・メイソン
タキシードという「白人風」の衣装に身を包んでいるのは、オーストラリアの先住民族 アボリジニの水先案内人、ミック・マーティンさん。そして、ボディペインティングで「アボリジニ風」のいでたちなのは、オーストラリア出身のピースボートスタッフ、ポール・メイソン。同じ国の中で、けれどもまったく違う環境に生まれ育ったふたりが、「多文化国家」オーストラリアのあゆみについて語った。
ポール:
「今では国民の4分の1を移民が占め、平等・多文化主義を唱えてはいるオーストラリアですが、その中には今でもハッキリした区別、また差別があります。僕は白人主義の中で育ち、歴史の授業ではアボリジニは友好的ではない、劣った人種と教えられましたし、そう思っていました。
しかし19歳の時初めて、アボリジニであるミックに会い、 それまでの価値観は白人主義社会の中のものだと気づいたんです」
ミック:
「かつて500以上の部族・300以上の言葉を持っていたアボリジニは、大地と強いつながりを持ち、自分たちのルールを持っていました。しかし、白人が入ってきて、アボリジニの土地を奪ってしまいました。その後、1956年にはじめてアボリジニはオーストラリアの国民として人口に数えられ、1972年には白人を優遇するという白豪主義が廃止。1960〜1970年代には、アボリジニが土地の所有をめぐっての抗議行動を行ったことから、政治の場面でもアボリジニの問題が多く取り上げられるようになります。
そして1992年、初めて先住の民であるアボリジニの土地への所有権を認めるという裁判所の判決が出されました。しかしそれは同時に、その土地をアボリジニから奪って使用している白人の権利も認めてしまうものだったのです。」
(小松美香)
11月21日のインデックスへ
/
39回クルーズレポートインデックスへ