タヒチアンの挑戦
 このコースで訪れたのは、タヒチの先住民族マオヒの人びとによるNGO「ヒティ・タウ」。今なおフランス領であるタヒチで、昔から伝わる農作業の技術を若い人たちに教え、マオヒの「経済的自立」と独立を、また、それを通じて、マオヒのアイデンティティを取り戻すことを目指し活動している。
  これは、実際に農作業を体験させてもらったり、フランスが繰り返したムルロワ環礁での核実験による被爆者の方から証言を聞いたり、というコースだ。
 「ヒティ・タウ」の施設からほど近いタロイモ畑で苗を植える。マオヒの人びとにとって、「大地」というのは神聖な存在。そこに、彼らの主食でもあるタロイモを植えさせてもらうというのは、彼らからの「歓迎」の意味でもあるのだ。
  その後、成長したタロイモ堀りも体験。大きなイモは、「ヒティ・タウ」スタッフの男性に手伝ってもらいながら、やっとのことで引き抜くことができた。
 フランスによる核実験が繰り返されたタヒチ。この男性は、生活のために核実験で汚染されたフランス軍施設で働いたため、25年間体調不良で苦しんでいるという。
  「このつらい体験を、今回はじめて話します。一緒に軍の施設で働いていた2人の友人もガンで亡くなってしまいました。私自身も、いまだに体がだるく、何をするにも気力がわいてこないのです」
  フランス政府は、核実験での汚染の事実を認めようとせず、被爆者は一切賠償金を貰えず、自費で治療を続けているという。
 夜は、タロイモやバーベキューを食べながらの交流会。「ヒティ・タウ」側からは、民族音楽の演奏や踊りを披露してもらい、ピースボート参加者側からも「お返し」をすることに。ブラジルで覚えたダンス・ボイブンバを披露したり、日本の歌を手話で歌ったりして、賑やかな夜を過ごしました。
 「ヒティ・タウ」のメンバーの各家庭にホームステイした翌日も盛りだくさん。「ヒティ・タウ」が取り組んでいるバニラ栽培の作業を体験したり、ビーチでの海水浴したり。
  写真は、最近「ヒティ・タウ」が新しく購入した山で、タピオカを植えるための儀式に参 加した時の一コマ。
(宮崎祐)
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