船内ニュース
12月1日 「旧土人」と呼ばれた人々〜アイヌの歴史と文化〜
/計良光則(NGO「ヤイユーカラの森」主催)
 水先案内人・計良光範さんによる講座も3回目。アイヌの住む「北海道」が、明治政府によって一方的に日本に編入されてから現在に至るまでの歴史を語りました。
 「日本政府は、北海道が『日本の領土』であることを主張するため、屯田兵制度を制定するなどして北海道の人口増加を図りました。またアイヌに対しては創始改名による戸籍編入を行うと共に、伝統行事や狩猟を禁止するなど、急速に和人への同化を進めまし た。アイヌ語は禁止されませんでしたが、アイヌに対する差別からアイヌ語を話す人は徐々に減っていきます。
 このようにして、口承文化であるアイヌの文化は次第に埋もれていきました。アイヌが生活に困窮していく中、1899年にはアイヌに 関する唯一の法律である『北海道旧土人保護法』が公布されました。アイヌ民族のことを『旧土人』と呼んだこの法律は、いろいろと問題の多いものですが、その目的はアイヌの生活の向上というものでした。しかし、同法は1997年に何の説明もなしに廃止され、いわ ゆる『アイヌ文化法』に取って代わられました。この法律は、アイヌの文化のみを対象としています。つまり、その保持者である『アイヌの人々』をまもるものではなかったのです。」
(葛原潤)
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