Donde Estan?〜愛する家族を探しつづけて〜
/ガブリエラ・スーニガ(行方不明者家族の会広報)
 日本からはちょうど地球の反対側、チリで、軍事独裁政権時代に行方不明となった人た ちの家族が中心となって、真相究明を求めつづけている団体・AFDD(行方不明者家族の会)。
 「Donde Estan?(どこにいるの?)」と題した今回の講座では、その広報を担当す る水先案内人ガブリエラ・スーニガさんが、軍事独裁政権時代を生き抜いた自身の体験談 を交えながら、AFDDの活動について語った。
 「ピノチェトの軍事クーデターから28年も経ちましたが、私たちは未だに家族に何が起こったのか知ることができないでいるのです。
 いっぽうで、彼らが死ぬ前に拷問されていたことなど、ひどい事実が少しずつ明らかになってきています。
 さまざまな証言から、遺体のある場所を特定できた例もあるのですが、それも、完全に揃った遺骨が発見されたわ けではありません。ひどい話ですが、専門家によるとそれらの遺体は埋められた後、掘り出されて場所を移されたというのです。その過程で骨の一部が失われてしまい、家族は遺骨のごく一部しか入手できなかったのです。
 楽しい旅行中にこんなひどい話をお聞かせして申し訳ありませんが、私は皆さんも、そ して世界の人々も、すべての人たちがこの出来事を知るべきだと思っています。私たちが 真実と正義と、そして事実を記憶にとどめていくことを求めるのは、こんなひどいことが 世界中の何処であれ二度と起きてはいけないと心から信じているからです。」
(浅野目)
キム・ヨンさんの『韓国まるかじり』/キム・ヨン(同志社大学講師)
 水先案内人のキム・ヨンさんの人気講座『韓国まるかじり』。今回は日本とも深い関係をもつ、韓国の現代史をテーマに語って頂きました。
 「1945年に日本の植民地から解放された韓国は、朝鮮戦争後、38度線で南北に分断されました。もし日本で言うならば、福島県いわき市と新潟市の間に南北の線が引かれ、連絡も行き来もできず、家族にも会えないという状況が今年で57年続いているということになるのです。
 1965年に私の母が反政府運動で刑務所に入れられたり、1974年に制定された緊急措置法によって妹が逮捕され、母が拘束者家族協議会の事務局長をしたり、韓国の政治の流れは、私の人生にも大きな影響を与えてきました。
 韓国の人は自分たちの歴史について非常に関心がありますが、日本の人たちは自国の歴史についての興味が薄いように思えます。しかし、世界 を知るためには自分の国、日本のことをまず知らなければなりません。」
(板川由希子)
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