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私(たち)はなぜ旅をするのか?
/キム・ヨン(同志社大学講師)
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韓国で生まれ育ち、日本人と結婚して来日、のちに日本の教会の牧師となった金纓(キム・ヨン)さん。来日当時は日本語はまったく話せず、「こんにちは」の挨拶も知らなかったとか。
そして50歳を目前に、リュック一つで念願の世界気まま一人旅へ出発。途中乳ガンの手術を受けるというアクシデントに見舞われながらも旅を続け、訪れた国は100カ国。そこまでキムさんを駆り立てたものは何だったのか、人は何のために旅をするのか――金さんに、自らの体験を元に語っていただいた。
「『やりたい』と思うことの中には、今しかできないことと、そうでないことがあります。何が『今しかできないこと』なのか、それを見極める目を養う必要があります。私の場合、この『今しかできないこと』が、50歳を目前としたバックパッカーでの世界一人旅だったわけです。
よく『何故旅をするのか』と聞かれますが、その思いというのはなかなかことばに表現して表すのは難しく、まさに"好きだからしょうがない"の世界です。現地に行き、その国を実際に自分の目で見て、手で触れ、においをかぐ。メディアなどによる情報で満ちあふれている日本にいて頭で考えるのではなく、その国に行き人との出会いを通して体で感じることが大切だと思います。
何故旅をするのかということは何故生きるかということと同じ。生きるということは旅なのです。」
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えっ!郵貯っていけないの?〜私達の貯金と南の暮らし〜
/田中優(環境活動家)
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郵便貯金が「途上国」への融資・投資に使われているのを知っていますか?しかも、私たちが預けたお金が、それらの人々をさらに苦しめている事実が存在するとしたら――。
『どうして郵貯がいけないの』などの著書も持つ環境活動家・田中優さんによる講座。
「郵便貯金という莫大な資金がどのように使われているのか、私たちはほとんど知る機会がありません。実は、その資金はいわゆる『途上国』へのODA(政府開発援助)や公共事業に姿を変えて、さまざまな環境破壊を生み出す工事へとつぎこまれているのです。しかもODAという『援助』は『途上国』にとっては借金になるわけですから、それらの国々でさらなる貧困を生み出し続けているということにもなります。また、かつての日本では、戦争のための資金として郵便貯金が使われていたという経緯もあるのです。
これらのカネの使いみちを放置することは、未来の可能性の放棄に等しい行為です。私たちが預けるお金なのですから、自分たちのコントロールの下で使われるようにならなければなりません。」
(藤田久美子)
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