シャロームとサラーム〜イスラエル・パレスチナ平和へのかけ橋〜
/高橋真樹(ピースボートスタッフ)
 ピースボートでは1999年から、世界各地の若者を洋上に招く「国際奨学生」プログラムを実施している。とくに昨年からは、イスラエル・パレスチナや旧ユーゴなど、世界の「紛争地」から国際奨学生を招き、洋上でさまざまなディスカッションなどを行ってきた。
 昨年の第33回クルーズでは、イスラエル・パレスチナから、それぞれ1人ずつの国際奨学生が乗船。故国では対立する関係にあるふたりの若者は、世界をどんなふうに見つめ、ピースボートの旅から何を得たのか。ピースボートスタッフの高橋真樹が語った。
 「ぼくの話の中心となるのは、パレスチナとの平和共存を求めるNGOに参加しているイスラエル人のケレンと、ピースボートに乗船するまで、すべてのイスラエル人を敵だと信じていたパレスチナ人のラミです。
 故国では決して出会う事のない2人が船内で出会い、互いの意見をぶつけ合う中で、次第に分かり合い信頼しあい、そして『自分たちは、いっしょに世界を平和にしていくことができる』と考えるようになりました。
 『シャローム・サラーム』とは、ラミとケレンが下船する前、最後に一緒に歌った歌のタイトルです。
 シャロームとサラームは、それぞれイスラエルとパレスチナで話されているヘブライ語とアラビア語で“平和”を意味します。この歌は彼らの平和を願う気持ちそのものであり、その思いはイスラエルとパレスチナの間に信頼関係を築いていこうという新たなプロジェクトに繋がりました。緊迫した現在のイスラエル・パレスチナ情勢ですが、彼らの平和活動はまだ始まったばかりなのです。」
(浅野目知子)
チェルノブイリの子供達〜悲しみを越える歌声〜
/高橋真樹(ピースボートスタッフ)
 16年前、当時のソ連・ウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故。被曝した人々の多くは、今も病気などの後遺症に苦しんでいる。ピースボートスタッフ高橋真樹が、その現状について語った。
 「チェルノブイリの原発事故は大人ばかりに被害を与えたわけではなく、小さな子供にまで影響を与えました。世界がチェルノブイリを忘れようとしている今でも、たくさんの子供がたちが発病しつづけ、多くの人々が亡くなっています。
 汚染された村に住みつづけることができず、故郷を去らざるを得なかった人々も大勢います。そんなふうにして、町や村が一つずつ消えていっているのです。
 『子供音楽団チェルボナ・カリーナ』は、そんな苦難を音楽を通じて乗り越えようとしているグループです。原発事故の放射能で甲状腺ガンに冒された子供たちを受け入れ、歌やダンスにより新たな希望を子供たちに与えるという活動を行っています。
 子どもたちは自分で歌の歌詞を書いたりもしますが、そこにはその子どもたちの心の悲鳴がそのままに謳われています。こんな歌をいつまでも子供たちに書かせちゃいけない。もう2度とこのような過ちは繰り返してはならないのです。」
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