9月19日  ▼ベトナムの今
/小山道夫(「ベトナム『子供の家』を支える会」ベトナム事務局長)
ベトナムで1986年から開始された、解放・改革をうたう「ドイモイ政策」。「ベトナムの今」と題したこの講座では、ベトナムに暮らして8年となる小山道夫さんに、経済発展などのドイモイの「光」部分、そしてその裏に隠れた「影」の部分をお話いただきました。
「1975年4月30日のベトナム戦争終焉と共に、全土完全統一、解放がなされました。ベトナム人にとってのベトナム戦争の位置付けは『社会主義革命そのもの』でした。しかしながら、その実態は共産党による一党独裁であり、複数政党を一切認めない、口も出せない社会の始まりだったのです。
いっぽう、1986年に始まったドイモイ政策は、『儲ける者は儲けても良い』という資本主義政策そのものであり、本来の社会主義思想である『貧しさの分かち合い』とは矛盾する政策でした。その結果、経済発展の一方で、都市と農村の格差をはじめとする貧富の差が増大し、共産党幹部や行政幹部の汚職腐敗が深刻な社会問題となるに至りました。一部の共産党幹部や党員家族のみが経済的発展の甘い汁を吸っている現状は、今のベトナム社会の大きな問題点となっています。「片足は社会主義、片足は資本主義」という矛盾した危機的状態に直面しているのが、今のベトナムの真の姿なのです。」
(尾崎)
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