「カナリア諸島の夢と現実」〜不法滞在者の実情〜
/エルバ・マルティネス(NGO「ラスパルマス・アコヘ」スタッフ)
アフリカ大陸のすぐ北にぽっかりと浮かぶカナリア諸島。この島では近年、アフリカなどからやってくる移民が急増しているという。
カナリアの港町・ラスパルマスにおける移民たちの状況について、移民支援を目的とするNGO「ラスパルマス・アコヘ」で活動されているエルバ・マルティネスさんにお話していただいた。
カナリア諸島では、80年代まではこちらから海外へ移り住む人たちのほうが多かったのですが、80年代後半になると、海外からの移民が多くやってくるようになりました。
現在もスペイン本土を含むEU諸国やアフリカ諸国からの移民が多数やってきています。
ここで問題なのは、実際にはEU諸国からの移民の数が最も多いにも関わらず、島の人達の間に『アフリカからの不法入国者によって島が乗っ取られる』という意識が広がっているということです。
新聞などのメディアも、このような意識を助長するような情報を流しています。これは、明らかに間違ったものであり、人種差別と偏見に満ちたものなのです。
(北口)
地球温暖化〜南太平洋〜   /ハナ・ヨンゲピアー(ピースボートスタッフ)
万が一、地球上に暮らす人々が現状の生活を続けたならば、2100年までに地球の平均気温は最大5.8℃上がり、海面は最大88センチ上昇するというデータが公開されている。
それが現実となれば、環境、そして人々が受ける影響の大きさは計り知れない。
スタッフのハナ・ヨンゲピアーが、本講座では、「温暖化」へのプロセスとその影響、そしてそれを防ぐために世界各国がどのような働きかけを行っているのか、また私たちに何ができるかについて話されました。
「マーシャル諸島のモジュロ環礁は、100年後には現在の面積の80%が海面に沈むと推測されています。ところが、二酸化炭素排出量の、世界全体に対する割合をみると、アメリカ23%、日本5%、そしてマーシャル諸島共和国0.004%。つまり、温暖化への責任のない国々が、真っ先にその被害を受けるということになるのです。
キリバス共和国では既に『環境難民』が発生しています。環境の変化により土地や家を失った人々が現実に生まれているのです。
今年4月、地球温暖化を防ぐための国際的な取り決め『京都議定書』からアメリカが抜けるという大きな出来事がありました。しかしいっぽうで、日本、オーストラリア、ロシアなど二酸化炭素排出量の多い国々は議定書を継続して守ってゆくことを決断したのです。
条約を批准して具体的なルール作りを初めてゆくための第一歩を踏み出したこの行動は、アメリカに対する大きなメッセージとなったはずです。」
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