11月19日 ▼環境保護活動から見るエクアドル〜環境と人々の調和〜
/ホスエ・ナランホ(沿岸環境保護団体代表)▼
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人口300万人を擁するエクアドル最大の港町、グアヤキルから船で10分。驚くほど豊かな自然が残され、“グアヤキルの呼吸器官”とも呼ばれているのがグアヤス河に浮かぶサンタイ島。色濃い熱帯植物に覆われた光景はアマゾンのジャングルを思わせ、グアヤキルの喧噪とは全くの別世界だといいます。
この島で研究を続けると同時に、沿岸環境保護団体の代表を務めるホスエさんに、島で暮らす人々の権利を守りながら環境を保全してゆこうとする活動について語っていただきました。 |
「パラダイスのようなこの島にも、いくつかの『侵略者』による問題があります。
例えば、エビの養殖業者は開発を進めるため、豊かなマングローブの自生林を大規模に伐採しています。また、樹木を勝手に切り倒し、イグアナを乱獲することで生態系や自然を破壊している人々もいます。
そうした行為から島を守るため我々が働きかけた結果、サンタイ島は2000年にラムサール条約で国際重要湿潤地帯に認定されました。
今後は、国際的にもこの島が守られることになったわけですが、一方で島を巡る観光ツアーが計画されるなど、島民の生活自体が変わり始めているという一面もあります。あらゆる人と自然の共生できるような保全、それが今後の課題です。」
(石橋)
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▼ケシが村にやってきた
/マリア・ラステーニャ(パムズ・マムウェラ先住民族協会代表)▼
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16世紀からスペインによる支配を受けた南米・コロンビア。その先住民族グループの代表を務めるテーニャさんに、外国人が持ち込んだ「ケシ」を栽培することで生計を立てざるを得なくなった先住民族の村の状況と、文化・伝統を取り戻すための新しい取り組み「織物プロジェクト」の現状についてお話しいただきました。 |
「スペインによる長い植民地支配を経て、コロンビア全土に住んでいた先住民族は、その言語・文化・毛織物・民芸品など多くの伝統を失ってしまいました。そして、後に民族の伝統を取り戻すための運動が広まり、それはフランスなどに伝統的な毛織物を販売することで順調な成果を上げてきました。
ところが1990年代に入り、外国人が持ち込んだ非合法作物『ケシ』の栽培によって、今まで築き上げてきた私たちの生活は崩れ始めたのです。美しい赤い花を咲かせるケシは当初、一般の観葉植物との説明でこの村に流入したので、それが麻薬の原料として加工・製造されようとは、私たちには知る余地もありませんでした。やがて、それによって現金収入だけでなく、対価として酒や食物や武器を簡単に手に入ることがわかると、村人たちは安易なケシ栽培に流れるようになりました。同時に、男達が酔っ払って争いを起こすことも日常茶飯事になり、それが社会を乱す要因となったのです。
私たちの『織物プロジェクト』は、この危機的状況から民族の伝統と尊厳を守るため、毛織物・民芸品事業の再開・拡大を図っています。ケシの栽培は、私たちの村を乱しただけではなく、麻薬による悲劇を地球規模で引き起こしているのです。全ての民族を代表し、『麻薬取引NO』を訴えるこの新しい取り組みへの支援と協力をお願いします。」
(尾崎)
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