12月8日  ▼戦争のセオリー・平和のセオリー
/ヨハン・ガルトゥング(TRANSCEND代表)、西村文子(国際政治学者)
日本が満州を侵略してから70年、そして真珠湾を攻撃してから60年。なぜ太平洋戦争が起こったのか、どうすれば戦争を回避できたのかについてヨハン・ガルトゥングさんに話していただいた。
「平和を考える上で、過去から学び、現在・未来へとつなげていくことは非常に重要なことです。
太平洋戦争が起こった大きな原因を考えると、近代国家が持っていた植民地主義が浮かんできます。『西洋に植民地化されているアジアを救う』と、『アジアをアジア人のために』という名目で行われた日本の行為は、実際には、近代国家が持つ植民地主義に基づいた『アジアを日本人のために』という行為だったのです。つまり、太平洋戦争の原因は欧米、日本の両方にあったと言えます。
それを踏まえた上で、平和な未来を創るために行わなければならないのは、『近代国家を非軍事化する』、『近代国家間の秘密を無くす』、自分たちは神に選ばれた国だという『選民意識を無くす』ということです。そして最も大事なのは、各国間に軍事力や経済力などの力の偏りをつくらず、均衡のとれた関係を創っていくということなのです。」
(北口)
マオヒが決めるマオヒの未来 〜モノイとバニラの生産〜
/ガブリエル・テティアラヒ (NGO「HITI TAU」代表)
フランスによる核実験の見返りとして経済援助を受けているタヒチで、援助に頼らない 生活を模索する人々がいます。ガブリエルさんの主催するNGO「ヒティ・タウ」の活動を 通して、先住民マオヒの目指す未来について語っていただきました。
「1995年の9月から12月にかけて、フランスによる核実験が再開されたことが、タヒチのNGOや人々にとって、タヒチの将来や開発について考えるきっかけになったと思います。
フランスのシラク大統領は、『タヒチに1000の仕事を与えると』言って私たちの島に核というゴミを持ち込みました。しかし今私たちは、核実験に代わる『持続可能な開発』を模索し、核なしに1000の仕事を作り出すことに成功しました。私たちが新たな産業として選んだものは、伝統的なモノイオイル作りとバニラの栽培です。売り上げの75%を生産者が受け取り、25%はヒティ・タウの活動資金になります。その結果、はじめは100%援助金で活動をまかなっていたのが、今では自分たちの土地や務所を持つまでになりました。
ヨーロッパにも支部ができましたし、新しくバニラを栽培する土地を購入する計画もあります。また、生産者には収入のいくらかを貯金をするように教育もしています。月日が経ち、貯まったお金は彼らが独立して何かを始めていく手助けになると考えるからです。人々は高い給料よりも、家族と共にタヒチで生きていける持続可能な生活を願っています。我々の活動の最も大切なことは、現地の人たちに将来の希望を与え、心身ともに核の呪縛から解き放つことだと考えています。」
(石橋)
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