12月2日太平洋への招待5〜ハワイの独立〜
/ヨハン・ガルトゥング(TRANSCEND代表)、西村文子(国際政治学者)
ハワイは1959年、住民投票によりアメリカの1州として併合されました。そしてホノルルにあるオワフ島は現在、土地の23%が軍事基地になっており、アメリカの軍事拠点として重要な意味を持っています。しかしハワイの先住民は軍事的理由ではなく、「アロハ(つながり)・アイナ(土地)」、宗教的・文化的な理由をベースに独立を求めています。果たしてハワイの独立派の人々は、いかにして独立運動を行っているのでしょうか。
「ハワイの人々は、自分たちの喜びの日そして悲しみの日を祝い、ハワイ人としての自覚を高めようとしています。そして白人の地主が占領していた土地の一部、先住民の埋葬の地など宗教的・歴史的に重要な意味を持つ土地の返還を求めました。このように非暴力的な方法で、時間と空間を少しずつ自分たちのものに取り戻そうとしています。
彼らは独立後のイメージを非常に明確にもっています。例えば、減退傾向にあるハワイ経済の3本柱、プランテーション、軍事基地、観光業を変えていこうと考えています。プランテーションのような大規模農場を止め、健康と土地に適した作物を育てる小規模農場を増やし、基地の一部を国連へ提供することで軍事を廃絶、そしてフラダンスやウクレレなど観光者向けに作られた伝統ではなく、ハワイ本来の自然・社会・政治を知ってもらうための観光、というようにです。このような構想はすぐに実現するわけではありませんが、10年、20年先ならば可能です。平和学・平和運動にもいえることですが、具体的で明確な将来のイメージを持つことが重要なのです。その点で、ハワイの独立運動から学ぶ多いのではないでしょうか。」
(泉)
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