1月22日・23日  ▼古都フエのいまむかし
ベトナム最後の王朝となったグエン王朝の都が置かれたフエ。清流のフォン川のほとりにしっとりと佇む姿は、まさに世界遺産にふさわしいものだった。
また、現代ベトナムの縮図とも言えるストリートチルドレンたちの共生施設「子どもの家」を創設者の小山道夫さん案内のもと訪れ、そこで生活する子供たちと交流の時間をもった。まさに「いまむかし」を体感するコースになったようだ。
このハイバン峠(敢えて訳せば「海雲峠」)では、19世紀初めに造られたトーチカを見ることができた。太平洋戦争中は日本軍が、そしてベトナム戦争中はサイゴン政府軍も使用していたという。天気のいい日ならば最高のビューポイントとなるはずなのに、今日は残念ながら、名は体を表してごらんの通り。
旧市街の中心に鎮座するグエン王朝の宮殿跡。建造開始は1804年、北京の「紫禁城」を模して造られたといわれている。しかし、ここは1968年には「テト攻勢」と呼ばれる戦闘の戦場にもなっている。その当時の弾痕が今もそこかしこに。
ゆったり時間をかけて王宮内を散策した人たちは、日中越の不思議な文化トライアングルに悠久の思いを馳せていたいようだ。
この「子供の家」は、小山道夫さんが小学校教諭をしていた頃、たまたま観光目的でベトナムに訪れ、そこで見たストリートチルドレンの現状にショックを受けことから発足に携わったとのこと。施設内では、子供たちや地域青年の自立を目的とした職業訓練センター、ベトナム人スタッフによる木工彫刻やミシン、コンピューターなどの教室が開設されていた。今後はベトナム人スタッフのみで運営していけるための人材育成、資金づくりのための工場設立などに力を入れているとのこと。
私たちが到着すると、翌日はテト(旧正月)ということもあり、ベトナムに伝わるお正月の歌と踊りで歓迎してもらった。その可愛い姿についつい見ている方もニッコリ。
ステキな歓迎を受けた後は、福笑いやシャボン玉でそれぞれに子供たちと一緒に遊んだ。とくに人気だったのが「インスタントカメラ」。とにかく撮って、撮っての大騒ぎ。普通のカメラで撮った後「まだ写真でてこないの〜」ってじーっと待たれても…。ちょっぴり残念な顔をされちゃいました。
フエのシンボル的な建造物といわれているのが、このティエン・ムー寺。ホテルから小舟にゆられてフォン川を遡ること約30分、川岸に七層の塔が見えてくる。お寺の中庭には、ベトナム戦争中に反戦を訴えて抗議の焼身自殺をはかったクアン・ドゥック僧が、サイゴン(現ホーチミン市)まで乗り付けたという青色の車が展示されている。いまも政府系の統一仏教界に反旗を翻しているというから、一筋縄ではいかない観光ポイントだ。
なんと完成に12年もの年月を費やしたというカイディン廟。ベトナムにある他の廟とは異なって洋風の趣向も取り入れた建築様式になっている。これは、カイディン帝がフランス保護領下のいわゆる「かいらい」皇帝だったことを如実に示しているとも言える。廟の内部には、青銅で造られたカイディン帝の等身大の像があり、その下に遺体が安置されている。内壁や天井が磁気やガラスで飾られていて、まるでモザイクの様でとっても綺麗(「日光東照宮みたい」との評も)。
ちなみに、この見晴らしの良いところまで登るのはとってもキツかった〜。
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