1月19日
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台湾の現在過去未来
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100年前から約半世紀にわたって日本による占領を受け、その解放後は、「国共内戦」を経て国民党政権の本拠地となった台湾。近年は、タブー視されてきた「独立」派が政界の主流をも占めるようになっているという。このコースでは、民主化を求めて運動してきた人々と交流し、この 「国」が抱える問題を検証した。
日本敗戦後に大陸よりやってきた国民党支配に対して鬱積していた台湾人の不満が「闇たばこ摘発事件」を発端に爆発し、台湾全島で大きな暴動に発展。それをきっかけに国民党軍が台湾人の知識層を中心に2万8000人を虐殺した「二二八事件」の追悼記念館。
前身は1930年、日本人植民者により造られた「台北放送局庁舎」、その後は国民党により「台湾ラジオ局」となった。「二二八事件」のきっかけとなった、台湾全島での人々の反政府暴動は、台湾人によってここから呼びかけられた。
館内ではまず、館長である洪敏麟さん自ら、台湾の歴史についてお話を聞いた。
「台湾400年史においてあれだけの犠牲者を出した事件はありません。『本省人』(戦後、国民党政権が本拠地を移す前から台湾に暮らしていた人たち)である李登輝が総統になり、民主化が進められるまで『二二八事件』について公で話されることは許されていませんでした。また、現在でも親族の行方がわからないという方は大勢いらっしゃいます。そうした犠牲者は老若男女を問わず、とくに多くの知識人が含まれていました。」この席には、実際、当時の反政府活動に関わり「二二八事件」で父親を殺された遺族も同席していた。
写真は「二二八事件」の虐殺の様子。手には針金を通され、銃殺されてゆく。その他にも館内には、ラジオ局や日本植民地当時の資料が展示されていた。
現在の大統領、陳水扁政権の国策顧問をしている陳少廷氏や黄昭堂氏など、台湾民主化を中心的にになう人物たちを迎えての交流会。
「台湾」独立とは何か、その意義や歴史的正当性、国民党時代の辛い経験などがそれぞれから熱く語られた。「独立とは、中国からの独立ではないのです。台湾は過去に一度でも『中華人民共和国』の領土となった歴史はなく、国際法上も領土であったことはありません。『中華民国』体制からの脱却が必要なのです。台湾の主体性を『国』として認めて欲しい。行政・司法・立法・防衛など、事実上『国』としての機能は十分に果たしているにも関わらず、国連にも加盟できず、一国家としては国際的に認められていないのが現状なのです。
私たちは、台湾と日本は運命共同体だと考えています。しかし今はまだ、台湾の片想いの状態です。みなさんにはまず、台湾を理解していただきたい。理解があればそこには愛情が生まれ、愛情が生まれれば平和が築いていけると信じています。私たちは、中国人ではありません。台湾人です。みなさん、どうか私たちの活動を応援してください。」
(生間)
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