1月19日
▼
「悲情城市」のチョウフェンをゆく
▼
基隆港の見える丘に位置する中正公園や奇岩が並ぶ野柳風景特定区に立ち寄ってから、映画「悲情城市」のロケ地になったチョウフェンへ。石造りの家々が建ち並ぶ石段やレトロな路地が懐かしい気分を呼び起こしてくれた。
基隆の港を見下ろす白い観音像が目印の中正公園へ。小高い丘の上に位置し、忠烈祀や民俗文物館などがある。この時間は、園内の小さな遊園地に家族連れがたくさん遊びに来ていた。台湾の子どもたちは、少し恥ずかしがり屋。はにかみながら、笑顔で答えてくれた。
基隆中心部から約20分、約7キロに渡って海岸線が続く海岸自然公園・野柳特定区。波の浸食によって奇岩が連なる絶景で有名。クレオパトラの横顔に似ているという「女王頭」をはじめ、豆腐岩・おっぱい岩・象石・仙人蹄などがにょきにょきと立っている。奇妙は奇妙だけどなんだか熱海に似ているかも。
チョウフェンは、奥まった山の斜面を切り開いて造られた元鉱山の街。その昔は9家族しか住んでいなかったと言われる。道幅はいまも、軽自動車がやっと通れるくらい。狭く階段の多い細い路地を挟んで、伝統的なお菓子やお土産をうる店、茶房館がいくつも並ぶ。
日本の「雷おこし」のようなピーナッツの甘いお菓子、饅頭、魚のすり身のスープなどが店頭に並ぶ商店は、下町の駄菓子屋のようなレトロな雰囲気。なかには何と「焼きイモ屋」も。年配の参加者から口々に「懐かしい」との声が上がる。「昔はこんなことできなかったわ。一度食べ歩きをしてみたかったの」。お菓子や焼きイモをほおばりながら、子供のようにはしゃいでいる姿は、ちょっとかわいらしい。
チョウフェンの街の坂道から、夕暮れ時淡く霞みがかった、すこし寂しく震えるような街並みが広がる。1988年ベネチア映画祭で金獅子賞に輝いた台湾映画「悲情城市」のロケ地となった。
(真家)
基隆寄港地レポートインデックスへ
/
32回クルーズレポートトップページへ