11月22日
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移民と人権〜ラスパルマスからのメッセージ〜
/イレーネ・メリアン・ビーゴ(弁護士)
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イレーネさんは移民を支援するNGO(ラスパルマス・アコヘ)のメンバー。「移民と人権」と題し、カナリアにおける移民の問題と移民を支援するNGOの取り組みを語った。
「アフリカにはヨーロッパに関して良い情報しか伝えられていません。戦争や、やむにやまれぬ理由で国を離れてスペインにやってきた移民は、現実としてそこが夢あふれる国でない事を思い知らされます。社会からつまはじきにされたり、ときには警察から犯罪者のように扱われることもあります。また、実際には南米から来ている移民の方が多いのですが、マスコミがアフリカからの移民にネガティブな論調で報道しているため、アフリカ人、黒人に対する差別は深刻なものとなっています。
そういった人たちは、言葉(スペイン語)・住居・仕事・医療・労働許可などあらゆる点で私たちの手助けを必要としています。昨年私たちのNGOは1300人の移民を受け入れました。今年は現時点ですでに2000人を越える人々を受け入れています。」
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カナリアってどんなとこ?/イレーネ・メリアン・ビーゴ(弁護士)
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ラスパルマスで生まれ育った若手の弁護士であるイレーネ・メリアン・ビーゴさんが、次の寄港地であるカナリア諸島の紹介をおこなった。
「『カナリア』という名前の由来は『鳥の島』もしくは『犬(ラテン語でカン)の多い島』からきているという説があります。カナリア諸島は7つの島からなり、テネリフェ島ではワインや花が有名です。スペインの一部となったのは1821年からで、特に農業と衛生面での自治が充実しています。主要な産業は、かつてはバナナの生産でした。現在も最も輸出されているのはバナナとトマトですが、今は観光業(年間7万人)が盛んでたくさんのホテルも建てられています。主にヨーロッパから年間に7万人が訪れています。
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もっと知りたい旧ユーゴ(5)〜戦争は事前に止められなかったのか〜
/アンドレアス・ツマフ(ジャーナリスト)
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もっと知りたい旧ユーゴ(5)(国際社会)では長年ユーゴ紛争を取材してきた、ドイツ人ジャーナリストのアンドレアス・ツマフさんが、NATOの空爆について話した。
「一般的にNATO(北大西洋条約機構)軍によるコソボ空爆はランブイエでの交渉の決裂から始まったとされています。アメリカのクリントンや、ドイツのフィッシャーは『あらゆる努力を続けたが残念ながらセルビア側がこばんだのだ。もう打つ手がない』との意見表明をしましたが、条約の内容はたとえセルビアの大統領がミロシェビッチでなくとも全く受け入れる事のできないものでした。セルビア全土にNATO軍を受け入れるというものであり、それに同意する事は、セルビアに主権をあきらめろという事です。NATO諸国は武力行使を正当化する理由を探していたのです。
NATOによる空爆は、国際社会が賛成したと言われていますが、 "国際社会"をどう定義するかが問題です。しかし現在、国際社会といえば国連に加盟している百数十の国々のことではなくて、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなどというごく限られた国でしかないのだと本人たちも自認し、マスコミもそう伝えています。つまり彼らの利益にかなうかどうかが国際社会の基準になってしまっているのです。」
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もっと知りたい旧ユーゴ番外編〜タマラの何でもQ&A〜
/タマラ・ポピッチ
(運動団体・OPTORメンバー)
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『ミロシェビッチ政権打倒』を掲げ、それを見事に成し遂げたユーゴの学生グループ「OPTOR」。その中心メンバーであるタマラさんと、ラウンジでドリンクを傾けながら、彼女たちのおこなってきた活動について語り合った。
「反ミロシェビッチの活動は激しい妨害を受け、わたし自身も何時間も警察に尋問されたりもしました。また、テレビ、新聞などのメディアは、ミロシェビッチのための政治宣伝を流し続けていました。ミロシェビッチは選挙により敗れましたが、それでも彼はその選挙で200万票を獲得しました。わたしたちの自由は、まだ始まったばかりであり、やらなければならないことは、まだたくさんあります。」
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