PEACE&GREEN BOAT2007
PEACE&GREEN BOAT > 2007 > 釧路レポート Program Report
アイヌ伝統料理と古式舞踊体験
これは知っとこ
「アイヌ」は、日本政府からは正式には認められていませんが、日本における「先住民族」です。古くから、北海道や東北地方を中心に固有の生活・文化を営んできたアイヌは、近代以降、日本政府の北海道開拓や和人化を強制する同和政策(※)などにより、生活の場を取り上げられ、その文化も抑圧されてきました。2007年9月、国連総会は「先住民族の権利に関する宣言」を採択。世界で進む先住民族の権利回復の動きと共に、アイヌ文化を未来へ伝えるための努力が続いています。
※同和政策:アイヌ独自の文化を禁じ、日本式の文化や考えを強制した政策
行程
釧路の白糠(シラヌカ)町を訪問
白糠町のアイヌの歴史を聞く
アイヌ伝統料理作り
文化交流会(アイヌ古式舞踊、アイヌ語講座、ムックリ体験など)
質疑応答タイム
レポート

釧路の白糠(しらぬか)町に到着。まずは白糠アイヌ文化保存会の理事であり、アイヌ語を教える先生でもある高木喜久恵さんからの白糠町のアイヌに関するお話を聞きました。

アイヌの伝統料理を教えてもらいながら一緒に作ってみました。今日の献立は、チェップオハウ(マスの汁物)、ユックカム(鹿肉の味噌煮)、イモチョケップ(ジャガイモといくらのサラダ)、チタタプ(鮭の内臓の塩辛)、クンブシト(昆布団子)などなど、アイヌならではのメニュー。

出来上がった伝統料理がこちら。おいしくいただきました。

食事の後はお勉強。北海道各地で見られる、一風変わった地名からもわかるように、アイヌ語は民族の特性がもっともよくわかる文化の一つです。また伝統楽器のムックリ演奏も体験しました。動物の鳴き声のような、こだまのような、なんとも不思議で面白い音色です。
みんなで歌と一緒に伝統舞踊を体験。神にささげるものやフンベ(鯨)の踊りなど、自然との縁が感じられます。
高木さんの話によると、現在白糠町に住んでいるアイヌは約200人。ここでもやはりアイヌはほぼ同和されていました。しかし自分たちの文化を大事にしたい気持から古典舞踊や歌の継承を初め、今や国の重要無形文化財に指定されているといいます。
素敵な踊りへのお礼に、今度は日韓の文化を披露!日本の小倉祇園太鼓の演奏や韓国のサムルノリ(4つの民族楽器から成る演奏)チームの公演など、文字通り3つの文化が混ざりあった瞬間でした。どちらの音楽にもみんなノリノリ。
楽しんだ後は少し落ち着いて質疑応答タイム。実際存在するアイヌへの差別、そして日本のみならずそれぞれの社会に存在する差別について話を聞き、改めて考える時間でした。

色々なことを教えてくださったみなさんとのお別れ。イヤイライケレ!(ありがとうございます!)
参加したスタッフより
光枝萌美アイヌの方々の歴史・文化を体験した交流会から、その素晴らしさを身をもって感じました。また同時に、アイヌ文化が近くなった分だけ、アイヌの方々が受けてきた差別に対し「あってはならないこと」だと、日韓それぞれの参加者が強く感じたと思います。

プログラムの最後の質問タイムで、韓国から参加した20代の女性が、現代の韓国社会の中で自身が受けた差別と、アイヌの人々の姿を重ねて、涙ながらに語る、というシーンがありました。日本の社会の中にも様々な差別があるけれど、同じようなことがやっぱり韓国の社会にもあるんだ、と改めて認識した時間でした。

アイヌ文化を知る中で、民族を越えて「差別」について考え、その体験や思いを共有することができたと思います。
(光枝萌美/ピースボートスタッフ)


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