教育基本法「改正案」の強行採決に抗議し、
廃案を求める、ピースボート声明

 自民党・公明党の与党は、2006年11月15日教育基本法特別委員会にて、引き続き、16日衆議院本会議で、野党の全議員が欠席のまま、教育基本法「改正」案を強行採決しました。わたしたちは、民主主義を無視した与党のやり方に対して強く抗議します。教育基本法「改正」案は、多くの問題があり、市民の声を無視して十分な議論もつくさないまま国会を通過させることは許されません。与党が議論は尽くしたとする臨時国会における特別委員会での審議は、「やらせ問題」「いじめ自殺問題」「未履修問題」などの議論が大半をしめ、法案そのものの問題点は何ら審議されていないことは明白です。

 教育基本法の「改正」問題は、わたしたち若者や子どもたちの未来に大きく影響する問題です。教育が、その時々の政治的多数派の意思に左右されるものではあってはなりません。教育基本法「改正案」の一番の問題点は、国家が教育内容について無制限に介入することが可能になることです(現行法の10条1項の改定、「改正」案17条の教育振興基本計画の策定の義務付けなど)。そのような介入は、教育の「機会均等」や「平等」が変質しかねず、能力主義や学歴主義の徹底や競争がさらに激しくなっていくことに道を開くものです。現在、大きな問題になっている「いじめや自殺」「学校教育の崩壊」の解決どころか、その増加の要因となりかねません。

 また、愛国心をはじめとする20の徳目教育を法律化することで、私たちの思想や信条の自由が奪われてしまうことが危惧されます。国際相互理解や異文化理解、地球市民意識こそが必要とされる今日、いわゆる「愛国心」を強調して法定化することは21世紀の時代に逆行する流れでもあります。国家に都合のいい「国民」をつくりだし、国家主義が復活する装置となってしまいかねない教育基本法「改正案」は、一から議論をやり直し、廃案にすべきです。

 わたしたちは、教育基本法案の強行採決に抗議し、「改正案」の廃案を強く求めます。
2006年11月17日
ピースボート
このリリースに関するお問い合わせは...
ピースボート事務局(担当:櫛渕)
(Tel:03-3363-7561/Fax:03-3363-7562/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
最新のプレスリリース一覧へ