日韓両政府に韓国軍および日本自衛隊のイラク即時撤退を強く要請します
 イラク国内の武装抵抗グループによって拘束されていた韓国の貿易会社「カナ貿易」社員の金鮮一さんが、釈放を切望して奔走した韓国および全世界中の人々の願いも虚しく、無惨にも殺害されました。

 ご遺族となってしまったご家族の皆様の胸を引き裂くような慟哭に、言葉を失うばかりです。

 ここに深く哀悼の意を表します。

 私たちは民間人を標的としたこのような卑劣な犯人グループの行動に強い憤りを覚えます。そして同時に、韓国や日本の民間人が相次いでイラクで拘束され、或いは殺害される事態が起こる主原因をつくった日韓両政府に対しても強い怒りを抑えることができません。

 金鮮一さんを殺害した犯人グループは、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラに送りつけたビデオテープを通じて、韓国軍の徐煕・済馬(ソヒ・チェマ)部隊の撤退と追加派兵中止を要求し、もし韓国政府が要求を受け入れなければ、金鮮一さんを殺害すると警告していました。

 最優先されるべきは人質の解放、人命の尊重であった筈です。にもかかわらず、韓国政府は金鮮一さんがまだ拘束されている段階で、追加派兵の意志を表明するという、取り返しのつかない罪を犯しました。そのような行為が犯人グループを刺激し、最悪の事態を招いたことは、想像に難くありません。現地にいる韓国その他各国NGOの必死の努力によって犯人グループとの折衝が進められ、人質解放に向けたかすかな希望が繋がっていたことを思うと、到底怒りを抑えることが出来ません。
 また、日本人もこれまで多数拘束されてきました。日本政府は人質本人に非があるかのような論調を繰り返し、決して自衛隊を撤退させようとしていません。その延長線上に先月の日本人ジャーナリスト橋田信介さん、小川功太郎さんの死がある事を思うとき、私たちは日本政府に対する怒りもまた禁じえません。

 私たちは米国の対イラク政策である「占領軍」の一部として韓国軍および日本の自衛隊がイラクで活動を継続することについて強く反対するとともに、韓日両政府が韓国軍および自衛隊を即時撤退させることを断固求めます。イラクに政権委譲後も、多国籍軍に両国が参加することに断固反対であることは言うまでもありません。

 米国が主導した米英軍によるイラク攻撃は、初めからひとかけらの大義も正義もありません。今日のイラクにおいて、これほどまでに日韓の民間人が憎まれ、命を脅かされる標的と化す根本的な原因をつくったのは、まさに米国の「同盟国」としてこの不道徳な戦争にいち早く支持を表明し、現在も米国の戦略に基づきイラクに軍隊および自衛隊を派遣している日韓両政府です。
 イラクでは既に無辜なるイラク市民の尊い命が数え切れぬほど犠牲となっています。血がおびただしく流れるそのイラクの大地の上に、彼らと彼らの家族、友人を殺す戦争に賛成し、今また人を殺すための装備を整えて軍隊や自衛隊を送り込んでいる国が、「人道/復興支援」をいくら唱えたところで説得力など微塵もないことは明白です。

 世界中の市民がこの米国によるイラク侵略に反対し、今も反対し続けています。日韓両国内にもイラクへの大義なき攻撃に憤り、両国の軍隊および自衛隊の派遣に断固抗議する人々が数多く存在します。その声は韓日両政府にも確かに聞こえているはずです。
 もう一度言います。
 私たちは韓日両政府に対し韓国軍および自衛隊を即時撤退させることを断固要求します。
 同時に、イラク国民に望まれぬ形態による支援を、直ちに中止すべきであると訴えます。日韓両政府はNGOなどと連携し、非武装によるイラク復興支援活動を模索すべきです。

 私たちはもうこれ以上、このような恥ずべき日韓政府共同歩調など見たくありません。政府の誤った判断によってかけがえのない命が次々に犠牲になることに、これ以上耐えられません。

 日韓両政府は米国の過ちを正し、人命を尊重し、正義を求めて生きる人々が報われるような平和な世界をつくるために、全ての力と知恵を注ぐべきです。その姿こそ、日本と朝鮮半島、そして東アジアの平和を願う私たちが求める真の韓日パートナーシップであると固く信じます。

 盧武鉉韓国大統領、小泉純一郎日本国首相。
 これ以上手遅れになる前に、私たちの声に耳を傾け、韓国軍および自衛隊を即時撤退させることを強く求めます。

Peace Now Korea-Japan(以下構成団体)
・ピースボート ・在日コリアン青年青年連合 
・ユースフォーラム・ジャパン ・ASIAN SPARK
・Body And Soul


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ピースボート事務局(担当:木下)
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