米英軍によるイラクへの先制攻撃に対する
小泉純一郎内閣総理大臣へのピースボート声明


小泉純一郎内閣総理大臣殿
2003年3月18日
 小泉総理、私たちは、ブッシュ大統領が本日3月18日に宣言したイラクへの先制攻撃に強く反対します。この先制攻撃は国連決議を経ず、国際法を犯し、イラクの一般市民を殺戮する行為であり、正義はありません。

 にもかかわらず、総理がこの正義なき殺戮に対し支持を表明されたことに、強い衝撃を受けるとともに、大きな失望と怒りを感じております。

 私たちは、このような総理の節度なき、モラルなき、自尊心なき米国追随姿勢に対し、強く抗議するとともに、米国のイラク先制攻撃支持を撤回されることを強く求めます。そして、同盟国の一つとして米国が平和的にこのイラク危機を解決するよう最大限の外交努力を行うことを求めます。

 日本は第二次世界大戦においては、東京、大阪などへの米軍による無差別空爆によって何十万という一般市民が犠牲となった国です。さらにその米国による大量破壊兵器の使用、すなわちヒロシマ・ナガサキへの原爆投下という人類史上最大の悲劇の一つを体験した国でもあります。そして、このような筆舌に尽くしがたい戦争体験とその侵略戦争への反省を踏まえ、国際紛争における戦争の放棄と戦力の不保持を謳った人類史的意味を持つ平和憲法を掲げる国なのです。

 小泉総理、あなたはこの日本という国の最高責任者として、国際法にさえ違反するとともに著しく人道に反する米国のイラク先制攻撃に反対すべきです。

 もしも、大量破壊兵器を保有しているかもしれないという疑いと、民主的政体ではないという理由において、国連安保理の承認を得ず行われる米国のイラク先制攻撃が正当化されるならば、それは、酷似した状況にある朝鮮民主主義人民共和国に対しても、米国が先制攻撃を行う可能性と正当性を与えることになるのではないでしょうか。それは、まさに朝鮮半島において再び戦争が始まること意味し、朝鮮、韓国の市民、そして日本の市民自身が再び戦争の犠牲となる可能性を開くものなのです。

 小泉総理、私たちは総理がイラク危機を平和的に解決するため、国連査察の継続支援、世界の市民の平和行動への支援、イラクへの特使派遣など平和的独自外交の継続など、あらゆる具体的平和的努力をねばり強く行い、徹底して、米国のイラク先制攻撃に反対されることを強く求めます。


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ピースボート事務局・担当:中原、吉岡
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