ピースマラソン
「過去の戦争を見つめ未来の平和を創る」というテーマを掲げ、訪れる国々に暮らす人々と交流をしてきたピースボート。今回は、日本を出航後に起きたニューヨークの同時多発テロ、そしてそれに対するアメリカのアフガニスタン空爆に対する「NO」のメッセージ、そしてピースボートが目指してきた「共生」のメッセージを、「平和の祭典」オリンピック発祥の地アテネで、“走る”ことを通じて訴えようと、乗船者有志による「ピースマラソン」を開催した。
「テロも戦争もない平和な世界をつくろう」という趣旨に賛同し「ピースマラソン」に参加したのは、米国、英国、パレスチナ、イスラエル、リビア、エルサルバドル、コロンビア、オーストラリア、韓国、スペインなどの国籍を持つスタッフ、乗船者を含む約130名。現地ギリシャのNGOメンバー約70名をあわせて総勢200名が、日・英・米の各大使館前を通過しながら、アテネの中心地シンタグマ広場のゴールを目指した。
テレビカメラや新聞など多数の取材陣に囲まれる中、5キロの道のりを出発。
「アフガニスタンへの報復攻撃と世界中のテロに対しストップをかけるため、精一杯ゴールを目指します。テロも戦争もない平和な世界のために僕たちができることは小さなことかもしれませんが、それでも一歩を踏み出したいと思います。」この準備を中心となって進めてきたボランティアスタッフ、安藤悠一さんが出発地点でアピール。
当初は「マラソン」の予定が、あまりに規模が大きくなったため、地元警察に先導されながらの「ウォーク」となった。ピースメッセージゼッケンをつけた一団が「NO WAR」と書かれた巨大大段幕を筆頭に、大小いくつもの段幕やピース凧などを手に「STOP BOMBING」「SAVE THE CHILDREN」「WE LOVE PEACE」など思い思いの声を上げながら、アテネ市内をねり歩いた。
装甲バス数台、そして警官、機動隊員らによる厳重な警備の後ろが米国大使館。ブッシュ大統領へ向け、アフガニスタンへの報復攻撃を直ちに停止するようアピール。また、日本大使館前では小泉首相へ向け、報復攻撃への支持と、それに伴う自衛隊派遣を即時撤回するよう訴えた。
道路の脇を固める警官、軍人らの中に見つけた「ガスマスク」姿。平和的なアピール行動にもかかわらず、米国大使館前では現地警察の反応があまりに過敏だったため、思わず苦笑。
全てのピースマラソン参加者がゴールのシンタグマ広場に到着。「ピースマラソン」実施に貢献してくれた現地NGOとピースボートによるフェスティバルは、参加者有志による和太鼓の演舞で開幕した。ピースボートとギリシャ側NGO双方のスピーチに続き、ゴスペルチームの歌やチーム・スペースのダンスが「共生」と空爆反対のメッセージを表現する。また、マラソンの語源となった町・マラトンからアテネまでの42.195キロをリレーで完走した有志チームもステージでアピール。
アテネ平和協会会長からは、「ピースボートの方々が願う平和な世界は、世界中の人々も同じく求めるものです。軍事力にものを言わせた大国主義的な考えや行動に対し、共に手を取り反対しましょう。」とメッセージをいただいた。
これに応えて、ピースボート側よりスタッフの吉岡が「ヒロシマ、ナガサキ、そして空爆が女性や子供たちを含む、いかに多くの市民を犠牲にするかを日本人は知っています。暴力は決して平和を創りません。新たな暴力を生み出すだけです」と訴えた。
現地ではスエズ運河洋上での「ピースフェスティバル」で発表された、ブッシュ大統領、小泉首相に対する「空爆反対」声明への署名活動も。フェスティバル会場に集まった現地の人たちも「がんばって!」の声援とともに署名をしてくれた。この翌日、ブッシュ大統領に宛てた声明と署名350名分、そして小泉首相に宛てた声明と署名220名分を、国際学生のパレスチナ人や米国人スタッフを含む有志の手で米国、日本大使館それぞれに提出した。
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