12月17日  ▼和解へのアプローチ〜日独米比較〜
/ヨハン・ガルトゥング(TRANSCEND代表)、西村文子(国際政治学者)
平和学者のヨハン・ガルトゥングさんは、「日本とアメリカ、そしてドイツの、これまで自分たちが行ってきた戦争犯罪による被害者との和解に対する考え方は、各国の歴史教科書に表れています」という。「反省すべき時代」として、強制収容所などナチスによる犯罪について多くのページを割いているドイツの教科書。南京大虐殺や朝鮮半島への侵略など、個々の事件は取り上げても、その背景には触れない日本の教科書。ベトナム戦争や広島・長崎への原爆投下などにほとんど触れていないアメリカの教科書。「学校歴史教科書」を中心に、各国の和解へのアプローチについて、ガルトゥングさんに話していただきました。
「日本とドイツの違いが生まれた理由の1つとしては、ドイツが戦後、ヨーロッパ共同体という横のつながりの中で新しい関係を模索し、近隣諸国との国際関係を大事にしてきたということが挙げられます。対して日本の政府は、近隣諸国との友好関係を広げていくという考えがないので、歴史教科書を書き換える必要はないと考えているのです。中国・台湾・朝鮮半島・日本・ベトナムによる東アジア共同体が作られていたら、アジアの和解には非常に有効だったと思うのですが、そういうものは全く考えられませんでした。
日本の歴史教科書は、文部省公認の物と併用してもう1冊、中国・朝鮮半島・日本の学者が協力して作った物を使用することが理想です。また、歴史教科書は必ずしも全員一致の意見を反映したものでなくてもよいと思います。異なる意見を両方のせ、生徒達の自主的な判断に任せればよいのです。」
(泉)
12月17日のインデックスへ35回クルーズレポートインデックスへ