7月4日  ▼ユーゴ紛争最前線〜マケドニアは今〜
スラビッツァ・インツェスカ(ソロス財団ディレクター)、千田善(放送大学助教授)
マケドニアは旧ユーゴスラビアから独立した国の中で、唯一「平和的に」独立した国。当時の大統領は絶対平和主義を貫き「平和のオアシス」となっていたという。ところが、今年の2月にコソボとの国境周辺での武力衝突が起きて以来、今も危険な状態が続いている。なぜあのユーゴで平和が貫けたのか?そして、なぜ今になって紛争が起きたのか?ギリシャから乗船された、スコーピエ在住でソロス財団ディレクターのスラビッツァ・インツェスカと千田善さんに解説してもらった。
スラビッツァ:「マケドニアの国境が完全に解放されてしまい、色々な人たちが自由に行き来できる様になりました。その結果、NLA(民族解放軍)が、そこに駐屯する事になり、マケドニア軍が管理できなくなっています。現状として、そこで数多くの戦闘が繰り返され、軍人、もしくは警察が数多く死傷しています。このNLAの最終目標は、ここで暮らしているアルバニア人の権利獲得の為に戦うという事です。
この状況下で、アルバニア系住民の要求の一部、もしくは殆どが実施されているのではないかと私は思っております。それは彼らの要求している形の完全な形、もしくは半永久的な形として行われているとはいえませんが、マケドニアという国家の政府の中、又、彼らの政策の中においては要求されていることというのは、殆どかなえられているのではないかと思います。」
千田:「マケドニアというのはグリゴロフ大統領が、文字通り命がけで、貧乏でも平和という選択をして戦争の火の粉がボスニアから飛んできても、振り払って平和を維持しようとしてきた、非常に注目すべき国だと思います。年齢のため引退し、昨年の選挙で、新しい大統領が選出されました。それと前後して政府も変わりました。台湾を承認したら中国が怒って国連が撤退という風に、せっかく守ってきたものがトントントンと崩れました。その上にコソボの空爆があって、現在のアルバニア人の過激派というのが、武力闘争するという事に繋がっている構造であると思います。」
(宮武礼乃)
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7月4日
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