ダムはムダだ/田中優(環境NGO「市民フォーラム2000」共同代表)
地方公務員として勤務するかたわら、「グループKIKI」などの環境NGOでも活躍中の田中優さんによる講座。
自分の子供が病気をしたとき、チェルノブイリの原発事故で食物が汚染されたことと関係あるのではと疑問を抱いたのが、環境問題に関わるようになったきっかけだという。ゴミ、原発、ダム、財政投融資、自然エネルギーなど、その活動範囲は多岐にわたる。
「『余った夜間電力を有効に使うため』と称して、山奥の渓谷に人知れず造られる揚水発電ダム。上下2カ所にダムを造り下ダムの水を夜間電力で上ダムに引き揚げ、それを落下させて発電するという施設です。動力に10の電気を使って7の発電を行うという、奇妙な発電施設でもあります。
しかもこの揚水発電ダムは、広大な土地を水没させ、貴重な動植物の生息地を奪うだけではなく、川の流れを分断し、水質汚染や地震誘発など、多くの問題を引き起こします。このような大きな犠牲を払ってまでこれらのダムを造ることが、本当に必要なのでしょうか?
日本にたくさんある原子力発電所では、つねに一定量の発電をしているために、夜間は電力が余ってしまいます。その電気を使って水を上ダムに汲み上げ、電気需要の高い昼間に発電しようというのがこの揚水発電ダムです。しかし、家庭の電気消費量は全体の23%に過ぎず、大部分は企業の需要が占めているのが現状です。昼間のピーク需要、とくに産業用電気の需要を下げれば揚水発電ダムは不要になります。そのためにも、家庭の電気料金とは反対に、使えば使うほど単価が下がる産業用の料金を、家庭用と同じシステムにすればいいんです。そうすれば電気需要のピークは下がり、新たな発電所の建設は不要になります。
海外ではすでに成功事例が多数あり、日本でも供給量を増やすのではなくて、需要自体をコントロールする対策が求められています。」
(石橋)
ジャグリング
日本の「お手玉」にとてもよく似たジャグリング。船内の語学講師として乗船しているオーストラリア出身のアナ・ベリーさんを先生に練習が始まった。音楽に合わせたり、ときにはペアを組んだり。互いの信頼感を高めるのにもとてもいいらしい。1個から2個、2個から3個と増やしていくが、最初はとてもむずかしい。
それでも、「good!!」と誉めてくれるアナ先生の優しく素敵な笑顔と励ましで、練習が終わる頃にはなんとか3個まで出来るようになっていた。下船する頃には大道芸人のまねごとでもしようかな。
(新里)
愛と涙の映画製作物語/映画製作プロジェクト
今回のクルーズにおけるハイライトの1つともいえるのが、映画「ON THE BOAT」を製作するプロジェクト。この、「地球一周の船を舞台に映画をとってしまおう!」という前代未聞の企画を総合プロデュースしているのが、古沢敏文さん。これまでプロデューサーとして『白痴』(手塚眞監督)など数多くの映像作品を世に送り出してきた彼が、映画プロジェクトについてはもちろん、映画そのものに対する情熱を語った。また、出航前のオーデションで選出された6人の監督陣もお披露目もあり、今プロジェクトの全貌が明らかになった。
「映画には、人を魅きつける力があるからおもしろいんです。僕のDNAには、映画という情報が埋め込まれているのかもしれませんね。みなさんも映画を見て何か感じてもらえればうれしいです。でも、ぼくはこれまでに映画を撮ってきた過程では、じつは達成感はないんです。だからこそ、もっとすごいものを作ってやろうと撮るたびに思います。もちろん今回の『ON THE BOAT』も。だからこそ、愛を持って、かつ皆さんに迷惑をかけないよう撮影をしていきたいと思っています。ですから、見守るというより、ぜひ皆さんも参加して下さい。」
(吉田)
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