▼ナポリと古代都市ポンペイ▼
 チビタベッキアの港からローマ市街を抜け、バスで約4時間。イタリア南部のナポリを目指す。ヴェスヴィオ山が鹿児島県の桜島と 似ていることから、ナポリと鹿児島市とは姉妹都市だという。風光明媚なナポリの絶景と、約1900年前に灰に埋もれた古代都市。2日間 でこのふたつを満喫することができた。
 「ナポリを見てから死ね」という諺は有名だ。「その景色がここ!」と現地ガイドさんに言われ、みんなバスから降りて一斉にシャッターをきっている。一番の写真ポイントはどこ?とファインダーを覗き、場所を変えては数枚ずつ撮っている。美しい青い海とナポリの街を眼下に、長時間の移動の疲れも一気に吹き飛んだようだ。
 ナポリの名産のひとつ「カメオ」は、貝殻やめのうを彫ってつくられたジュエリーや置物。特に、年配の女性たちには心躍るおみやげだ。
 途中でおじゃましたカメオの工房には、人間国宝だという彫り師の作品が並べられている。彫っていく課程を見ることもでき、みんな興味津々にのぞき込んでいた。
 古代都市ポンペイは、紀元79年8月24日、近接するヴェスヴィオ山の噴火により、街全体が火山灰で埋もれてしまった。その高さは6メートル。3日間続いた噴火は、この街の暮らしぶりをそのまま閉じこめてしまった。
 16世紀の終わり、偶然にも建造物が発見され、18世紀後半、本格的に街が発掘されはじめたという。
 発掘作業が進んでくると、火山層の中にある空洞に石膏液を流し込んで、中にあるものが「像」として取り出されていった。そこで出現したのは、火山灰に閉じこめられた動植物や木製品の他、1100体もの人間だ。
 逃げ遅れた人や、つながれていたために逃げられなかった奴隷や家畜、ペットなどなど。彼らはさぞかし苦しかっただろうと考えると、なんともいえない気分に…。
(高橋真由美)
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