第7回エッセイ大賞入賞者発表

第7回エッセイ大賞入賞者発表
大賞  該当作品なし
次点  ホロコーストと世界平和/北山夏帆さん
平和の絵、戦いの絵/日高夏希さん
いってらっしゃい/梁衛東さん

第7回エッセイ大賞選評

●鎌田慧さん(ルポライター)

今回は残念ながら、「大賞なし」だった。旅はひととの出会いや発見だが、自分を変えた驚きや発見を書く感性が、読者と共有できる。そのような文章を期待している。

・梁衛東さんの『いってらっしゃい』は、アモイへの旅での出会いと発見が、率直に描かれている。そこで、墓碑銘に書かれた一族の歴史を読んで、「朝の風が吹 いて、木の葉がさらさらという音が耳の中で響いていた」と感じた。日本の侵略戦争でなくなったひとたちのことを理解し、祖母の悲しみを理解できたのだ。祖 母が憎んでいた日本に留学し、平和を考えるようになる。でも、日本にきてからの、戸惑いなどの感情を書いてほしかった。

・北山夏帆さんの『ホロコーストと世界平和』は、一年間のフイランド留学で、隣に住んでいるかつての敵国民ロシア人にクッキングシートを借りに行く、という、フイランド人の日常生活から書き始めているのだが、それとホロコーストが、うまくつながっていない。

・ ヒダカナツキさんの『平和の絵  戦いの絵』は、いくつかのケースを書いたことによって、散漫になってしまった。もっと「ゲルニカ」こだわってほしかった。

●伊藤千尋さん(ジャーナリスト)

今回は応募作品が少なかったが、過去の応募作品と比べて内容はけっして劣っていない。むしろ成熟してきたように思える。さすがに第7回となると、ふさわし い人が応募するようになった。ただ、これまでのように突出して大賞に推したい人はいなかった。いずれも「ぜひ乗せたい」と思わせる点で、いま一歩欠ける。

とくに目を引いたのは中国人の梁さんだ。戦時中の嫌な体験から日本に憎しみを抱く祖母との交錯する思いを書いた。反日運動が根強い中国で日本語を専攻し、 さらに「実際に交流する」ことの大切さを感じて日本に留学した点に、過去にとらわれず自分の体験から未来に向かおうとする素直な姿勢を感じる。来日してわ ずか4カ月でこれだけの日本語の文章をかけるということは、かなり勉強をしたのだろう。そこに真摯な姿勢を確認できる。ただ、彼には少なくともあと1年は 日本で学んでほしい。そのあとで世界に羽ばたいてほしい。この若者は、やがて世界をつなぐ役割ができると思う。

日高さんと北山さんは、ともに視点や目的が明確だ。それぞれジャーナリスト、映画監督となれるだろう。ただ、「思い」は強いが、それに向けて何をしてきたか、と言う点で弱い。実績を積んで次回に応募してほしい。

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