3.11から3年の声明「被災者の生活再建と原発ゼロ社会を市民の力で」

プロジェクト:脱原発
3.11から3年の声明「被災者の生活再建と原発ゼロ社会を市民の力で」
東日本大震災の発生から3周年にあたり、ピースボートは下記の声明を発表しました。
 2011年3月11日に起きた東日本大震災から3年を迎えました。巨大地震と大津波で犠牲となった方々は、未だに行方不明とされる方々を含めて1万8000人を超えます。犠牲者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族やすべての関係者の皆さまに改めてお悔やみを申し上げます。

 3.11以来、私たちは市民として災害支援活動に取り組んできました。被災地の方々と国内外からの延べ8万人以上のボランティアをつなぐ活動の中で、私たちは、市民のつながりこそがあらゆる困難を乗りこえる原動力になることを実感してきました。また、アジアの隣人を含む世界中から多くの支援があったことは、国境をこえたつながりの大切さを教えてくれました。

 地震、津波、原発という三重の災害によって、今日26万人以上が避難生活を強いられています。なかでも原発の被害を受けた福島県の避難者数は、13万人をこえます。避難生活による体調悪化や自殺など震災関連死は約3000人に上り、半数以上が福島の人々です。被災者に対する国の支援策は不十分かつ一貫性を欠き、多くの人々が生活再建の道筋を見いだせない状態に置かれています。

 国や自治体はさまざまな復興事業を打ち出していますが、もっとも大切なことは予算額や事業規模ではなく、被災者の生活が再建され持続可能になることです。十分な補償はもちろん、雇用、教育機会、家族やコミュニティ、心のケア、そして基本的人権と尊厳が保障されなければなりません。復興事業の意思決定プロセスの中心に、被災者自身の参加が確保されることが必要です。

 2012年6月に超党派の議員立法で成立した子ども・被災者支援法は、避難、残留、帰還などどのような選択をとろうとも、すべての被災者が放射能被ばくを避け、等しく権利を保障されることを目的としたものでした。しかし同法の理念はゆがめられ、限定的にしか運用されていません。福島県の子どもの甲状腺調査結果をみても被ばくの影響は未解明であり、さらなる調査、診断、追跡が周辺県を含め必要です。
3.11から3年の声明「被災者の生活再建と原発ゼロ社会を市民の力で」
 福島第一原発では、深刻な状態が続いています。東京電力や国は、汚染水に対する有効な対処すらできていません。高い放射線量のなかで作業にあたる労働者の健康管理体制も問題を抱えています。福島第一原発の安定化と廃炉は、もはや東電に任せておくことはできません。国が主体となり、あらゆる情報を国内外に開示しながら、世界の叡知を結集して事故の収束に取り組まなければなりません。

 これら課題山積の日本政府は、その責任を果たしていないばかりか、あろうことか原発への回帰を進めようとしています。福島の事故後、ドイツをはじめ世界で多くの国々が脱原発を決定しました。日本でも圧倒的な世論の下で、2012年9月に原発ゼロへの新戦略が決定されました。しかし安倍政権はこれを覆し、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ再稼働を進めるという基本計画を閣議決定しようとしています。そればかりか政府は、他国に原発を輸出するためのセールスに躍起になっています。私たちはこうした動きを到底認めることはできません。

 全国に広がる市民運動や地方自治体の首長らの意思表示に見られるように、脱原発社会をつくることは、大震災を経験した日本の人々の願いです。現在日本で稼働している原発はゼロであり、それでも経済と社会は成り立っています。私たちは今こそ、原発に象徴される中央集権システムに依存した経済発展モデルから脱却し、再生可能エネルギーを中心とし地域に根ざした分散型の新しい循環型社会を築き上げるときです。世界の先駆的な研究者、起業家、市民活動者らが、再生可能エネルギーの力を実証しています。

 ピースボートは広島・長崎の被爆者たちと共に、60年を迎えたビキニ水爆実験やタヒチなど太平洋の核実験被害者、ウラン採掘に苦しむ先住民族らと交流を深めながら「核なき世界」を訴えてきました。日本政府がいまだに核燃料サイクル政策を継続しようとしていることは、こうした世界的努力に対する悪しき挑戦です。私たちは計画の撤回を求めます。

 来年3月には仙台で国連防災会議が予定されています。私たちはこうした機会に、大震災と原発災害の教訓を世界に向けて発信していきたいと考えています。

 本日3月11日に、震災犠牲者の追悼や脱原発のための活動が世界各地で行われています。私たちはこうした皆さんと共に手をとりあって、市民の力で新しい未来を切り開いていく所存です。


2014年3月11日
国際交流NGO ピースボート

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