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おりづるプロジェクトに、北乃きいさんと日向寺太郎監督から応援メッセージをいただきました!

おりづるプロジェクトに、北乃きいさんと日向寺太郎監督から応援メッセージをいただきました!
2013年7月から全国公開される映画『爆心 長崎の空』。この映画は、被爆地・長崎を舞台に人々のごく当たり前の、しかしかけがえのない日常の中で巡りあう、別れと再生の物語です。

第80回ピースボート「地球一周の船旅」では、被爆者が証言する「おりづるプロジェクト」と連動させて、この映画を各地で上映することを計画しています。

主演の北乃きいさんと日向寺太郎監督に、この映画を通して伝えたいことや、おりづるプロジェクトへのメッセージなど、幅広く語っていただきました。
INFO
2013年7月から全国公開される映画『爆心 長崎の空』。この映画は、被爆地・長崎を舞台に人々のごく当たり前の、しかしかけがえのない日常の中で巡りあう、別れと再生の物語です。

第80回ピースボート「地球一周の船旅」では、被爆者が証言する「おりづるプロジェクト」と連動させて、この映画を各地で上映することを計画しています。

主演の北乃きいさんと日向寺太郎監督に、この映画を通して伝えたいことや、おりづるプロジェクトへのメッセージなど、幅広く語っていただきました。

~それでも希望を探して生きていく~

おりづるプロジェクトに、北乃きいさんと日向寺太郎監督から応援メッセージをいただきました!
「爆心 長崎の空」
監督:日向寺太郎
原作:青来有一
出演:北乃きい、稲森いずみ、
柳楽優弥
7月20日から東劇ほか
全国ロードショー
7月13日~19日
岩波ホールプレミア特別上映
(C)2013 「爆心 長崎の空」
パートナーズ

原爆資料館には必ず行ってほしい(北乃きい)

おりづるプロジェクトに、北乃きいさんと日向寺太郎監督から応援メッセージをいただきました!
Q:『爆心 長崎の空』は「長崎の原爆」というテーマが背景にある映画ですが、 今回役柄を演じるにあたって大変だった部分はどんなところだったでしょうか?

北乃:私自身は被爆三世の役でしたが、被爆のことを気にして生きている子ではなかったので、ごく普通の女の子を演じさせていただきました。しかも登場人物がすごく自然体で描かれているので、私自身はあまり物語を演じているという感覚はありませんでした。

試写会で客観的に見て感じたことは、この映画が原爆の話そのものを描いているのではなく、その後人々が長崎でどう生きていったかという話になっているということでした。人が何もかも失くして、絶望や悲しみに満ちたとき、それでも小さな希望を探して生きていくという姿が描かれているんだと思います。再生について描かれているという点では、震災後の今の日本に、強いメッセージを与えられるのではないかと思っています。

Q:北乃さんと同世代の若い人たちには、原爆というテーマをどのように受け止めてほしいですか?

北乃:私はこの作品への出演がきっかけで、自分が何も知らなかったことに気づきました。私の学校では授業でも数時間ほどしかこの内容に触れず、あまり印象に残っていないんです。
 
長崎の原爆資料館を訪れたのは、スケジュールの都合で、撮影が始まった後でした。資料館では初めて目で見て肌で感じることばかり。最初の感想は、失礼な言い方かもしれませんが、「日本じゃないみたい」というものでした。それが、20歳のときの率直な感想です。

長崎や広島の原爆資料館は、海外の人から見れば観光地になっているかもしれないけれど、私は日本人だからか、そういう風には思えませんでした。海外の人たちは写真をたくさん撮っていましたが、私は写真を撮ることもできなかった。歴史もそんなに知らない自分がそう感じるということは、資料館の影響力は大きいなと思います。

それで、次は広島にも行ってみたいと思うようになったんです。だから同世代の人たちや、年下の10代の子たちには、原爆資料館には必ず行ってほしいと思っています。
 
私自身は、資料館から帰ってまず友達に報告しました。でも、写真を撮れなかったので、言葉ではうまく伝えきれなかったんです。とにかくまずは訪れてほしいと思っているのですが、この気持ちを共有するのは難しいですね。他人から行けと言われても、なかなか行く気にならないという気持ちもわかりますから。それが、これからの自分にとっての課題でもあります。
 
資料館では、「自分がきちんと受け継いでいかなきゃいけない」という思いになったのに、どう言ったらみんなが行ってくれるのかな、というのがわからない。自分には、そういう役目もあるんだと感じているので、それを考えていきたいと思っています。

「おりづるプロジェクト」は、世界平和をつくる第一歩!(北乃きい)

おりづるプロジェクトに、北乃きいさんと日向寺太郎監督から応援メッセージをいただきました!
Q:ピースボートの「おりづるプロジェクト」へのメッセージをお願いします

北乃:私は「情報を共有すること」が世界平和への第一歩だと思っているんです。アジアでも、今はなかなか仲良くできていませんが、きっとお互いにいろいろ共有していけば、仲良くなれると思うんです。災害などがあったときに助けあっていたら、戦争になんてならないだろうし。

この「おりづるプロジェクト」の話をお聞きして、すぐに思ったことがあります。それは、3・11の震災後に『チェルノブイリ・ハート』という映画を見て感じたことと同じでした。私は本当に無知なんですけど、この映画ではチェルノブイリ事故の後、今も何も変わっていない現実というのを伝えていました。でも悲しい話だけじゃなくて、希望を持って行動をしている人たちのことなど、ちゃんといい話も伝えていました。震災後だったので、よけいに未来の日本を見ているような気がしたんです。ちゃんと理解しないといけないと思って、3回も劇場に見に行ったんですよ。
 
長崎や広島の原爆の被害は、チェルノブイリと事情が違っているけれど、でも被ばくのようなことを一度経験している国から学ぶことは、すごく大切だと思います。長崎や広島の被爆者の方たちが伝えてくれるメッセージは、体験した人にしか伝えられないことなんですよね。

それを若い人たちも参加して、船でいろんな国に行って、世界中の人たちと共有していくというのは、ものすごいことだなぁと思うんです。「おりづるプロジェクト」は、世界平和をつくる第一歩。ここから必ず何かが変わっていくはずです。応援していますね!

深い悲しみからどう立ち直っていくのか(日向寺)

Q:この映画の見どころを教えてください
 
日向寺:この映画のテーマは、受難とか苦難とか喪失感とか、深い悲しみからどうやって立ち直っていくかというものです。母を亡くした北乃さん演じる清水と、娘を亡くした稲森いずみさん演じる砂織が、深い悲しみからどう立ち直っていくか、そこを見てほしいと思います。

この映画では原爆を描いてはいるのですが、それがテーマだとは思っていないところがあります。清水の母親の死というのはまったく個人的もので、大きな物語ではなく個人の物語です。砂織夫婦が子どもを失うということも個人の物語で、いつ誰の身にも起こるかわからないことですよね。そこを入口にして、だけどそのことが長崎を舞台にした場合は、原爆ともつながっていく。原爆で亡くなった方を含めて、個人の物語が長崎の土地の物語ともつながっていくというのが映画の構造です。

そうした個人的な話を通じて、長崎の人々が1945年の8月9日からどう立ち直っていったのか、あるいは3・11以降の東北の人々が、どう立ち向かっているのかということに想いを寄せていただきたいですね。映画では直接に3・11のことは描いているわけではありませんが、監督した私にはそういう思いがあります。

関心をもってもらう入口の一つになればいい(日向寺)

おりづるプロジェクトに、北乃きいさんと日向寺太郎監督から応援メッセージをいただきました!
監督と北乃さんを囲んで。おりづるプロジェクトのスタッフと長崎で被爆された池田昭さん
Q:ピースボートの「おりづるプロジェクト」へのメッセージをお願いします

日向寺:私自身、関心はあるのですが、入口が原爆だと重く感じてしまいます。1945年8月9日を描く映画だったら、私は『爆心』を撮れなかった。

例えば当事者のお話というのは、とても重要な入口ですが、一番重い話ですよね。場合によっては重過ぎるということもあるわけで。そういう作品を今つくることは大切だと思いながらも、たぶん私は撮れなかったと思います。だから若い人に関心を持ってもらうためには、いろいろな入口があった方が良いと思うんです。

例えば、この映画を北乃きいさんのファンに見てもらったら、もっと知りたいと思うことが出てくるかもしれません。「おりづるプロジェクト」も、そうした入口の一つなのだと思います。船で3ヶ月間被爆者の方たちと一緒に過ごす中で、話し合うこともそうでしょうし、そういう入口から始まることもあると思っています。

Q:長崎の原爆を背景にした映画をつくられた動機は何でしょうか?

日向寺:先ほども触れましたが、この映画は原爆を真正面から描いた映画ではありません。青来有一さんの原作小説『爆心』に描かれているのは、現在長崎に暮らす人たちがどう生きているかということ。

そこから原爆のことにもつながっていくし、さらにはキリシタン弾圧の話しも出てくる。そういった見方が素晴らしいと思いました。青来さんも戦後生まれなので、ある時期に自分が原爆のことを書いていいのだろうか悩まれたそうです。だからこそ、私は原作を読んで心を動かされました。
 
私の前作は『火垂るの墓』という映画で、これはまさに戦争中の話です。監督するときに自分の中ではとても悩みました。そのとき文芸評論家の加藤典洋さんの、「受け手がバトンを自ら拾わないといけない」という主旨の文章に背中を押されました。
 
「戦争の当事者ではなくて、受け手が主体にならなきゃいけない。そうしないと体験は縮小していく」ということでした。逆転の発想なんですよね。そう考えればいいんだと思って、私は『火垂るの墓』を撮ろうと思ったんです。それ以来どうしたら多くの人に共感してもらえる入口を増やせるかについて考えています。もちろん正面から8月6日なり8月9日の原爆を描く方法もあるでしょうし、そういう映画や小説もたくさんありますよね。しかし、そういうアプローチは自分にはちょっと難しい。

そうではない入口をなんとか開けたいなと思っていたときに、この『爆心』という小説と出会って、これだと思いましたね。小説の『爆心』はすでにそういう形で入口になっている。そこを映画でもやりたいと思ったのです。『火垂るの墓』は依頼されて作った作品ですが、『爆心』は自分で企画を出した作品です。『火垂るの墓』で悩んだという体験があったから、このようなことを考えることができました。

爆心 長崎の空