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わたしと世界の関わりを変えた旅 ― 2018年春期 地球大学報告

わたしと世界の関わりを変えた旅 ― 2018年春期 地球大学報告
「平和で持続可能な世界をつくる教育」をテーマに、第98回ピースボート地球一周の船旅(2018年5月8日〜8月22日)において、地球大学プログラムを実施しました。全25寄港地をめぐる106日間に及ぶ航海を通して、生涯にわたり学び続けるための土台作り、自分とは異なる文化や価値観を持った他者の尊重、そして世界が直面している紛争・貧困・差別・テロ・環境破壊など地球規模の大きな課題について、「教育」を軸に自分たちにできることを学びました。19歳〜30歳の30人が受講しました。
「平和で持続可能な世界をつくる教育」をテーマに、第98回ピースボート地球一周の船旅(2018年5月8日〜8月22日)において、地球大学プログラムを実施しました。全25寄港地をめぐる106日間に及ぶ航海を通して、生涯にわたり学び続けるための土台作り、自分とは異なる文化や価値観を持った他者の尊重、そして世界が直面している紛争・貧困・差別・テロ・環境破壊など地球規模の大きな課題について、「教育」を軸に自分たちにできることを学びました。19歳〜30歳の30人が受講しました。

【アジア区間】「自分を知る」と「世界を知る」は繋がっている

わたしと世界の関わりを変えた旅 ― 2018年春期 地球大学報告
洋上のプログラムの様子。様々なトピックで議論します。
日本を出発してアジアを旅する区間は、まず、お互いを知り、安心して対話ができる環境をつくるためのワークショップや、受講生それぞれが自分自身の関心を知るためのアクティビティを行いました。教育に関心が強い人、世界の問題を知りたい人など、受講の目的や関心は様々でしたが、「自分を知る→自分の関心興味を知る→世界の問題と自分自身を結びつける」ということを繰り返し、掘り下げていきました。

対話を重んじる多くのワークショップを通して、自分自身を深く知り、世界のどんな問題に心から関心を持てるのか、なぜそう思うのか、自分なら何ができるか…など世界と自分のつながりを深めていきました。

また、アジア区間では、シンガポールで教育に関する寄港地プログラム(任意参加)も行われ、多くの受講生が参加しました。多民族が共生するシンガポールの教育現場ならではの教育に対するアプローチや、ICT(情報伝達技術)を効果的に活用した学習方法など、日本との違いも多く、貴重な学びを得ることができました。

【大西洋区間】ヨーロッパの教育と歴史から学べること

わたしと世界の関わりを変えた旅 ― 2018年春期 地球大学報告
リヒテルズ直子さん(右)を招いて
ヨーロッパ〜大西洋を航行した区間では、オランダ教育研究者・日本イエナプラン教育協会特別顧問のリヒテルズ直子さんをゼミに迎え、教育と世界の問題を結びつけながら考えました。

『イエナプラン』と呼ばれる、ドイツ発祥でオランダで普及しているオルタナティブ教育を紹介することから始まり、その中で実践されている様々なワークショップを通して、「自ら考える」「意見を表明する」トレーニングを行っていきました。理想の学校像をグループで考えてプレゼンテーションをしたり、国際色豊かな船内の環境を生かして、「日本についてどう思うか?」をテーマに参加者へのインタビューを行い、報告し合いました。

コペンハーゲンからは、デンマークのユニークな教育機関「フォルケホイスコーレ」から教育者のガーバ・ディアッロさんも乗船。デンマークの教育制度や平和教育への取り組みや、ディアッロさんが大切にする、「人種、国籍、思想、歴史、文化、宗教などの違いをのりこえ、誰もがその背景によらず、人として尊重される社会の実現」の活動について話を伺いました。

また、寄港地では、戦争について学ぶ二つのプログラムに参加したメンバーが体験を共有しました。訪れたのは、紛争などで危機に瀕した地域の子どもたちの治療やリハビリを行うボランティア団体「ドイツ国際平和村」、そして、第二次世界大戦中に多くの命が犠牲になったアウシュヴィッツ強制収容所跡地(アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館)。戦争の歴史と、それがいかに現代につながっているか、それぞれに感じたことを話し合いました。

一方で、受講生はゼミ以外でも積極的に船内で活動するようになりました。グローバリゼーションや貧困格差、多文化共生など様々なテーマでワークショップを準備し、一般の参加者に向けて実施しました。その経験を繰り返す中で、伝える難しさと楽しさ、ファシリテーションの仕方を実践を通して学んでいきました。

【太平洋区間】船全体を学びの場に!プロジェクト活動

わたしと世界の関わりを変えた旅 ― 2018年春期 地球大学報告
船内の他の参加者に向けた発表の様子
ストックホルム〜ニューヨークの区間、ピースボートには「オーシャンユース」が乗船していました。オーシャンユース(正式名称:海洋保護・気候行動のためのユースアンバサダー)は、気候変動によって深刻な影響を受けている太平洋、インド洋、カリブ海の小さな島国で、海洋保護・気候変動問題に取り組む若者たちです。

活動内容だけでなく、彼らの人となりを知り、繋がりをつくりたいと、交流企画を受講生主体で考え、地球大学プログラム内外で実施しました。英語が得意でない方でも参加しやすいアクティビティを考え、小さなグループに分かれてインタビューを行いました。世界各地から集まった同世代のユースたちとの交流は貴重で、気候変動について興味を持つきっかけになりました。

クルーズの後半は、関心が似ている受講生同士でグループをつくり、船内のほかの参加者も巻き込んだプロジェクト活動を開始。「子ども目線でみる船内」「世界中の人たちと友達になろう」「マインドマップで自分を知ろう」など目的を設定し、他の参加者と協働しながら様々な企画に挑戦しました。

たとえば、「夢を応援」チームはスタッフと協力して、若者6名にステージで自分の夢を語ってもらい、会場の参加者がコメントをするというイベントを企画。地球大学のチームメンバーは、発表者の若者それぞれのプレゼンテーションを当日までサポートし、企画運営を行いました。当日は聴きに来た参加者からの応援の声やフィードバックも多く、発表者も手応えを感じていました。

一方、「子どもチーム」は、小さな子ども連れで船旅に参加している保護者と協働し、船内の困りごとや良かったことを、インタビュー形式で伺うトークライブを行いました。「子どもたちと大人が一緒に楽しめる企画が少ない」という声を受けて、年齢に関係なく参加できるゲームを企画しました。

船旅を振り返って

「教育」というテーマにとどまらず、世界と自分自身を広く深く学んでいった106日間でした。その旅を終え、日常に戻った受講生たちは、それぞれに次の一歩を踏み出しています。

「旅の中で感じ考えたことを、まずは身近な人に伝えよう」と地域の公共施設や学校、ピースボートセンターなどで報告会を企画し、チャレンジした人。自分たちの暮らす街の子どもたちに関わる活動(中高生の居場所・学習支援の場づくりなど)を始めた人。戦争の被害を受けた人たちとの出会いから、日本と戦争の歴史に関心がわき、船内で出会った被爆者の方を訪ね、帰国後に友人と広島を実際に訪れた人。それぞれの関心や、日常を送る場所で、身近にできることから始めてみています。

遠かった世界が身近になって、「私でもできることがあって、行動することは意外と面白い!」と気づいたのではないでしょうか。
小さなことからでも、できることから何か始めてみたら、少しづつ変えていける。その一歩が次の一歩へ、次の出会いへ。これからも歩み続けてほしいと思います。

以下に、受講生の感想をいくつか掲載します。

「忙しさから教育に携わることへ自信を失っていた。水先案内人・リヒテルズ直子さんのオランダでのオルタナティブ教育に基づいたワークショップを体験。理想の教育のカタチに出会えた。更に、共に学ぶ仲間と語り合い、自分にもとことん向き合う時間は貴重だった。」(大阪府から参加・24歳)

「社会人や学生など地球大学生の背景は様々。ゼミは、インプットだけでなく、ワークショップやディスカッションを通して他の人の意見を多く聞くことでき、自分自身の学びが深まった。元々自分の気持ちを言葉にして伝えることが苦手だが、皆が耳を傾けてくれ、一緒に悩んでくれるのでいつの間にか、ありのままの自分が出せるようになっていた。」(神奈川県から参加・29歳)

ゼミにご協力頂いた水先案内人の皆様(順不同)

・野嶋剛さん(ジャーナリスト)
・リヒテルズ直子さん(オランダ教育研究者、日本イエナプラン教育協会特別顧問)
・ガーバ・ディアッロさん(NGO Cross Borders創設者、フォルケホイスコーレ(デンマークの教育機関)のCrossing Borders学科長)
・四角大輔さん(執筆家)
・スコット・ラドラムさん(元オーストラリア上院議員、反核活動家)、
・下村健一さん(ジャーナリスト、元TBS報道キャスター)
・マイケル・ブルーターさん(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授)
・吉岡淳さん(カフェスロー代表、NHK文化センター世界遺産講師、元日本ユネスコ協会連盟事務局長、ナマケモノ倶楽部世話人)
・結城幸司さん(アイヌアートプロジェクト代表)

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