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世界の若者たちに被爆証言を届ける・第99回ピースボートが横浜港に帰港しました

世界の若者たちに被爆証言を届ける・第99回ピースボートが横浜港に帰港しました
12月17日、第99回ピースボート地球一周の船旅が、108日間の旅を終え横浜港へと帰港しました。帰港記者会見では、クルーズで実施されたおりづるプロジェクトの報告が行われました。今回のクルーズでは、被爆者2名とユース1名が、それぞれ外務省から委嘱された「非核特使」「ユース非核特使」として参加。主に小学生から大学生までの子どもや若者を対象に証言を届けました。また、世界各地でヒバクシャ国際署名(1842筆)を集めました。さらに、船内で行われた被爆体験の継承をめざす「おりづるピースガイド」養成講座では、31名の方が修了されています。以下に記者会見の内容をご紹介します。
12月17日、第99回ピースボート地球一周の船旅が、108日間の旅を終え横浜港へと帰港しました。帰港記者会見では、クルーズで実施されたおりづるプロジェクトの報告が行われました。今回のクルーズでは、被爆者2名とユース1名が、それぞれ外務省から委嘱された「非核特使」「ユース非核特使」として参加。主に小学生から大学生までの子どもや若者を対象に証言を届けました。また、世界各地でヒバクシャ国際署名(1842筆)を集めました。さらに、船内で行われた被爆体験の継承をめざす「おりづるピースガイド」養成講座では、31名の方が修了されています。以下に記者会見の内容をご紹介します。

国連でスピーチ「核保有は恥と感じる世界に」/塚本美知子さん(広島で10歳のときに被爆)

世界の若者たちに被爆証言を届ける・第99回ピースボートが横浜港に帰港しました
塚本美知子さん
10歳のときに両親が直接の被爆をしました。父はその6日後、母は16年後に亡くなりました。両親の思いを受け継ぎたいと思い、25年くらい前から証言活動をして核のない世界をめざしてきました。

今回の船旅では、ニューヨークの国連本部で行われたサイドイベントで、「核兵器を持つことが恥だと考える世界になってほしい」と訴えました。84歳にして初めて英語でスピーチしました。

けれども、ちょうど同じ頃に日本政府が、核兵器禁止条約に反対する声明を出したことにはショックでした。日本政府のやり方は間違っています。小さな力ですが、少しでも現実を変えるために伝えていきたいと思います。

寄港地では、特に中南米の方々の暖かい人間性を感じました。そして、核兵器禁止条約に賛同してくださる方ばかりだったのが、心強く思いました。

私はおりづるプロジェクトには、2010年以来2度目の乗船です。前回は一般市民が対象でしたが、今回は学生さんたちが対象という違いがありました。船の中を含めて、若い方にお話できたのが良かったと思います。

また、前回は被爆者が8名乗っていましたが、今回は私を入れて2名でした。私は84歳で若いほうですが、みなさん高齢になって伝えるのが難しくなってきています。それだけに、船内で熱心に勉強していただいた「おりづるピースガイド」の若い方たちには、大変期待しております。

核廃絶の思い共有できた/空民子さん(広島で3歳のときに被爆)

世界の若者たちに被爆証言を届ける・第99回ピースボートが横浜港に帰港しました
空民子さん
私は、爆心地から1.4キロの距離にあった自宅で被爆しました。洗濯をしていた母と、すぐに庭にあった防空壕に避難したため、一命をとりとめました。多くの方が命を落とした広島の元安川の川の中から掘り出した土を使って焼き物をつくる、というプロジェクトに携わっており、今回の寄港地にも持っていきました。

おりづるプロジェクトには、今回初めて参加しました。実は、乗船が決まる直前の6月に夫が亡くなりました。相当に迷いましたけれど、今でなければ証言できないと思ったことと、家族が後押ししてくれたもあり乗船しました。今では、やはり証言活動をしてよかったと思っています。

小学生から大学生まで、次の世代を担っていく若者たちを前にお話をしたところ、皆さん素直に聞いてくれました。シンガポールや、ハワイ、グアテマラなどそれぞれ戦争など悲惨な歴史がありますが、暖かく迎えて私たちの話をしっかり受け止めてくれたと思います。

ハワイで証言活動をしたとき、私は真珠湾攻撃をしたことをお詫び申し上げました。すると「謝ってくれてありがとうございます。原爆を落としたことをすまないと思う」と言われました。私は、お互いの心が通じ合ったと思いました。

証言を聞きに来てくださったみなさんは、「核を保有することが平和ではない」という思いを共有してくれたと思います。日本政府には、もっと私たちの思いを知ってもらいたいですし、核兵器禁止条約に賛同するように働きかけを続けていきたいと思います。 

眼の前で世界が動いた/安藤真子さん(おりづるユース)

世界の若者たちに被爆証言を届ける・第99回ピースボートが横浜港に帰港しました
安藤真子さん
私の印象に残った寄港地は3つあります。ひとつはギリシアのコルフ島で、市長さんが船内に来て、その場で平和市長会議の署名をしてくださったことです。実際に世界をめぐる中で、一つの都市が私たちの眼の前で加盟して現実が動いたことがすごいと感じました。

また、キューバとメキシコ(マンサニージョ)では、船内で証言会を行いました。キューバでは、主催者側の方から「核兵器廃絶を願っていないキューバ人はいない」と断言されました。それほど胸を張って国民が核廃絶を願っているというのは本当にすごいと思いました。

メキシコでは、船内に500人も学生さんが来てくれました。メキシコも核兵器廃絶をリードしている国で、代表の方は「そのメキシコの姿勢に誇りを持っている」とおっしゃっていました。

核廃絶についての態度では、日本政府は誇りを持てるような状態ではありません。日本もそういう国になっていってほしいし、そう言える環境に私たちが変えていかなければいけないということを改めて感じました。

船内では、お二人の証言はもちろん、核実験や原発の問題などいろいろな角度から、核兵器や戦争のない世界のために何ができるかについて、考える時間を持てました。
世界の若者たちに被爆証言を届ける・第99回ピースボートが横浜港に帰港しました
ノーベル平和賞のメダル(レプリカ)と賞状とともにて
また、アジアの国々からの参加者の方も大勢乗られていたため、異なる歴史認識を持つ人たちに対して真剣に向き合う良い機会にもなりました。相手の視点に立って歴史を伝えることの難しさや大切さを考えることができたと思います。

※おりづるプロジェクトは、12月26日に出航する第100回ピースボート地球一周の船旅でも実施いたします。

◆なお、帰港と記者会見については以下のメディアで報道されています。

・12月17日 テレビ神奈川 「各国で被爆体験語った「非核特使」が帰国」
・12月31日 神奈川新聞 「ピースボート、被爆者が横浜に帰港 核なき世界を訴え」

おりづるプロジェクトの報告書はこちら

第99回ピースボートにおけるおりづるプロジェクトの報告書と、帰港記者会見において配布した「おりづるピースガイド」育成プログラムの現状報告資料をダウンロードできます。

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