必要な人に食料を!フードバンクの活動を体験−シンガポール

プロジェクト:SDGs キャンペーン 寄港地エリア:アジア クルーズ: 第97回 地球一周の船旅
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必要な人に食料を!フードバンクの活動を体験−シンガポール
ここでは、第97回ピースボート・アジアグランドクルーズで訪れたシンガポールのフードバンクを訪ねるツアーを紹介します。経済成長を続けるシンガポールですが、その裏には食料を必要とする多くの人々も存在しています。参加者は、彼らを支えるNGOの活動を見学し、食料の配布も体験しました。

経済成長の裏で食料を必要とする人々

必要な人に食料を!フードバンクの活動を体験−シンガポール
順調な経済成長を続けるシンガポール。2017年の一人あたりの名目GDPでは世界9位となり、25位の日本に遥かに引き離しています(いずれもIMFのデータより)。しかし、その富は公平に反映されているわけではありません。

約560万人の国民のうち、約42万人(13%)が貧困とされ、10人に1人が空腹のまま眠りについています。また、シンガポールのストレイト・タイムズ紙によると、2016年に売れ残るなどした食べ物のうち、活用されたのはたった14%でした。

これらの統計からは、単に食糧が不足しているわけではなく、必要としている人々に最低限の食糧が届いていないことがわかります。

ピースボートの参加者は、シンガポールを訪問して、この問題に取り組むフードバンクのNGO「フード・フロム・ザ・ハート(FFTH)」の活動に触れました。

FFTHの5,00平方メートルもの広さがある倉庫で参加者たちを迎えてくれたのは、シニア・マネージャーのジェネーブ・ロウさんでした。FFTHはシンガポールに住んでいるオーストリア人の夫婦、ヘンリー&クリスティーン・ライマーさんによって2003年に設立されました。

当初の目的は廃棄されるパンを減らすことだったと、ロウさんは説明します。最初に関わった120人のボランティアと一緒に、彼らは余った食べ物を集めて配るために、シンガポールの3つの大きなパン屋さんと契約をしました。

およそ15年後、このプログラムは毎年約387万シンガポールドルに相当する売れ残ったパンを集めるまでに成長し、2016年には全体で540万シンガポールドルに相当する食糧を再分配しています。

年間3万5000人に食料を提供

必要な人に食料を!フードバンクの活動を体験−シンガポール
ロウさんは、FFTHが食べ物だけではなく、ボランティアによる労働力の提供も必要としている、と語ります。FFTHには、年間8000人を超えるボランティアが集まり、主要な活動は6つのサービスに広がっています。

具体的には、2万8000kgのパンの再分配、家庭や個人への食料パックの配達、学校への出席や成績向上を促すための生徒への食料プログラム、毎年8000人以上の子供たちへおもちゃを届けるプログラムと4000人への年に一度のイベントの開催、そして1000人を超える子供たちと年配の方の誕生日を料理でお祝いするプログラムの毎月の開催などです。

一番新しいサービスは、食品と生活必需品を41の慈善団体と8000人近い人々に届けることです。合計すると、FFTHは毎年約3万5000人のシンガポール人に食料などを提供していることになります。

参加者も配布活動を体験

必要な人に食料を!フードバンクの活動を体験−シンガポールFFTHの支援を受けている女性(Auntie)のお宅に向かうピースボートの参加者
ツアーに参加したピースボート参加者は、実際に配布作業に参加しました。お米や油、牛乳といった台所に必要なものから、日本茶や魚の缶詰やデザートなど特別な品物を、地元のボランティアの人々と一緒に並んで食料パックとしてまとめます。

それから参加者は近隣の集合住宅へ移動して、自治会長のエリック・ウォンさんと会いました。彼は必要としている人々へ物品を届ける手助けをしています。

ウォンさんは、FFTHとピースボートの参加者が行った仕事に、感謝を表してこう言いました。「シンガポールはとても小さい国なので、問題を見つけて解決するのは日本のような国々よりも簡単そうに思えるかもしれません。それでもやはり、手助けなしではできないのです」。

参加者のある女性は、彼女がこのツアーに参加してFFTHについて学ぼうと決めた理由について、こうした国による違いを知ることだと言いました。

「私は日本のフードバンクでもボランティアをしましたが、シンガポールではどんな方針の違いがあるのかを見てみたかったのです。帰国したときに役に立つ何かを学べるかもしれません」。

食料受給者の声

必要な人に食料を!フードバンクの活動を体験−シンガポールFFTHの活動を支えるのは、8000人のボランティアによる支援です。ボランティアには、幅広い年代が参加しています。
寄付の食品を受け取る際、住民は参加者たちを家に招いてくれました。アンティーと呼ばれている女性の受給者は、政府の補助を受けている部屋に夫と娘と一緒に住んでいました。

彼女は20年前にインドネシアから移民してきました。家族に食事を与えるために時々行われるFFTHからの支援を頼りにしているとのことでした。「もしもらったものの全てが必要でない場合は、近所の人たちと分け合っているんです」とアンティーは言います。

ツアーに参加した男性は、アンティーのような、自分が支援されるだけでなく周りも手助けするようなFFTHの受益者と出会えて光栄だと感じていました。「貧困に生きることは大変だと思いますが、たくさんの可能性を見ることができました」と彼は言います。

参加者は、FFTHの一生懸命な働きや啓蒙活動、そして共同体の支え合いを実感して、船へと戻りました。

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