第95回ピースボートに平和学を学ぶドイツとイランの若者が乗船しました

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第95回ピースボートに平和学を学ぶドイツとイランの若者が乗船しました洋上で議論を交わす学生たち
第95回ピースボート地球一周の船旅のヨーロッパ区間(ピレウス〜リスボン)に、ドイツのチュービンゲン大学の修士課程で平和研究と国際政治を学ぶ学生13名と、イランのテヘラン平和博物館でボランティアをする若者4名が乗船しました。船内と寄港地で様々な人と出会い、異文化交流も楽しみながら、プログラムを通して紛争解決や平和構築への理解を深めました。

「過去と向き合う」―ドイツの例から学ぶ

第95回ピースボートに平和学を学ぶドイツとイランの若者が乗船しました船内でプレゼンテーションを行うチュービンゲン大学の学生たち
ドイツのチュービンゲン大学のピースボートプログラムは、同大学とベルゴフ財団が共同で企画するもので、今回7年目の実施となります。学生たちは乗船前に、船内で行うプレゼンテーションや、寄港地でのスタディツアーを準備してきます。

洋上では、船内の他の参加者に向けて、「戦後ドイツの歴史への取り組み―成功の事例だったのか?」と題したプレゼンテーションを行いました。戦時中に残虐行為を犯した国がどのようにして過去と向き合うことができるのかを、ドイツが第二次世界大戦時に行ったことを例にとって話しました。

学生たちは、人々は「知る権利」「正義を求める権利」「賠償を受ける権利」があると話し、また、国は「過ちを繰り返さないための補償」をすべきであると話しました。この基準に沿って、ドイツの戦後処理について彼女たちの考えを話しました。

戦争を次世代へ伝える―テヘラン平和博物館の取り組み

第95回ピースボートに平和学を学ぶドイツとイランの若者が乗船しました船内で日本文化体験を楽しむイランの若者たち
テヘラン平和博物館は国際平和博物館ネットワークの加盟団体で、博物館を通して平和への意識を高め、イラン・イラク戦争の経験から、戦争が及ぼす甚大な被害、主に化学兵器が及ぼす健康・環境被害を知ってもらうために活動をしています。

今回乗船した4名の若者はボランティアとして博物館の活動に携わるメンバーです。彼らが行ったプレゼンテーションでは、イラン・イラク戦争で化学兵器が使われたことに触れ、戦争や紛争時に使用される化学兵器や核兵器がもたらす影響、テヘラン博物館で行う平和教育の取り組みなどを話してくれました。

一方で、イランの豊かな自然や食、芸術、文化についても紹介してくれました。だからこそ、失われてはならない、平和の尊さを訴えかけました。

紛争から立ち上がった女性たちと出会う

第95回ピースボートに平和学を学ぶドイツとイランの若者が乗船しました丘の上から見下ろすドブロブニク旧市街の町並み。1991年、ここは戦場となった
寄港地では、ドブロブニク(クロアチア)に寄港した際、旧ユーゴ紛争の最中に難民となった女性たちを支えるために1991年に設立されたNGO「DESA(デシャ)」を訪れました。ドブロブニクは、「アドリア海の真珠」の異名もある美しい世界遺産の街ですが、紛争を逃れてクロアチアの地方からやってきた避難民もあふれる中、包囲され激しい砲撃を受けた歴史があります。

DESAは設立当時、難民への寄付として届いた衣服を、使いやすいように作り直したり、当時必要だった物を作り出すことから始まりました。洋服を仕立てる技術を得ること、また伝統的な手工芸の技術を身につけることで、収入を得るだけではなく、目的意識や新しい仲間など、自立して生きていくためのきっかけを得ることができるようになりました。

年月を経て、この団体は、社会的・経済的に難しい状況におかれた女性たちに様々なスキルを身につける機会やつながる場を与え、自立支援ネットワークへと発展していきました。

この団体に長くメンバーとして携わり、「かつては自分も難民でした」と語るロマナ・トミッチさんの案内で団体の歴史と現在に触れながら、学生たちは旧ユーゴ紛争が残した傷跡と、女性たちの前に進むための取り組みについて学びました。

様々な視点を身につけた船内での交流

第95回ピースボートに平和学を学ぶドイツとイランの若者が乗船しました日本の若者とのディスカッションのようす
ドイツとイランの若者たちは船内で他にも、「地球大学」の参加者と、日本とドイツの戦後補償や教育、若者の政治参加、メディアのあり方などを比較するディスカッションを行ったり、太平洋やインド洋などの島国出身で気候変動に取り組む若者との意見交流を行い、これらの島国が気候変動によって受けている深刻な影響について学ぶ機会もありました。

イランと、ドイツのチュービンゲン大学の学生のプログラムは2018年以降も続ける予定です。今後も船旅への参加を通じて、平和教育や国際交流において関係を深めていきたいと考えています。

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