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ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告

ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告
韓国の麗水の港での歓迎セレモニー(2017年7月29日)
日韓両国から参加者が1000人以上集まり、ともにアジアを旅したピースボートの日韓クルーズ「PEACE & GREEN BOAT2017」。2017年7月27日から8月7日まで、韓国の麗水、釜山、ロシアのウラジオストック、日本の函館、境港を訪れ、東アジアの市民が交流しました。

今回、各寄港地で学び、参加者と交流した体験を紹介します。
韓国の麗水の港での歓迎セレモニー(2017年7月29日)
日韓両国から参加者が1000人以上集まり、ともにアジアを旅したピースボートの日韓クルーズ「PEACE & GREEN BOAT2017」。2017年7月27日から8月7日まで、韓国の麗水、釜山、ロシアのウラジオストック、日本の函館、境港を訪れ、東アジアの市民が交流しました。

今回、各寄港地で学び、参加者と交流した体験を紹介します。

麗水で朝鮮侵略の歴史と市民運動の原点を学ぶ

ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告
麗水地域社会研究所にて(2017年7月29日)
このコースでは、水先案内人の李泳采(イ・ヨンチェ)さんの案内とともに、日本ではあまり知られてこなかった麗水(ヨス)の歴史を学びました。

この地域は、太閤・豊臣秀吉による朝鮮出兵を撃退した韓国の英雄・李舜臣(イ・スンシン)将軍が活躍した場所です。李舜臣は、1592年の壬辰倭乱(文禄の役)において秀吉の軍を撃退し、1597年の丁酉倭乱(慶長の役)において再び水軍を任され戦っている最中に戦死しました。

またこの地域は、1948年に朝鮮半島の統一、独立を巡る論争が起こるなか、軍の一部が政府の方針に逆らい、麗水事件という反乱を起こした地域でもあります。今回訪問した麗水・順天(スンチョン)事件についての調査・研究を行っている麗水地域社会研究所では、当時の写真を見るとともに、現在韓国内で行われている大きな市民運動へと続いている社会的背景を学ぶことができました。

ウラジオストックの大学生と交流

ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告
ロシア国立海洋大学の学生と(2017年7月31日)
ウラジオストックでは、ロシア国立海洋大学の学生と交流を行いました。ここの学生は、船舶関係の勉強を行っており、2014年に行った洋上訓練では福島近海まで行き調査の手伝いを行ったということです。

訪問した海洋大学では、ロシア、韓国、日本からそれぞれの国の文化紹介が行われました。その中では、韓国の学生によるオカリナの演奏や日本の折り鶴を一緒に折ったり、ロシアの学生はギターを演奏するなど、活発に交流が行われました。

交流会後は、それぞれ小グループに分かれ町を散策し、ウラジオストックの夏を満喫しました。この交流会に参加したロシアの学生の一人は、「以前研修で大型のコンテナ船に乗船したことがあるが、やはりPEACE&GREEN BOATのような多くの人々を乗せた客船で仕事をしたい」と将来の夢を語ってくれました。

釜山にある「民族と女性歴史館」を訪れて

ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告
「民族と女性歴史館」にて(2017年8月5日)
このコースでは水先案内人の鎌田慧さんとともに、釜山にある「民族と女性歴史館」を訪問しました。歴史館に入ると、「慰安婦」被害者として初めて名乗り出た金学順(キム・ハクスン)さんを含む数名の女性の写真が展示されています。

1991年に金学順さんが最初に名乗り出たことにより社会的に大きな衝撃が生まれ、韓国内外から慰安婦とされていたと語る女性たちが名乗り始め、その声は中国、台湾、フィリピン、オランダ、インドネシア、東ティモールなどにも広がっていたことがわかりました。

今回の訪問、このような慰安婦とされた女性たちが闘ってきた歴史を改めて見つめ、今後の日韓関係においても日本がきちんとした責任を認めていく必要性があることを実感しました。

ポルノ被害は自己責任?

ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告
ポルノ被害の実態を訴える宮本さん(2017年8月3日、ピースボート船内にて)
船内で行われた企画では、これまでほとんど表に出てこなかったポルノ被害の背景について、ソーシャルワーカーの宮本節子さんから話をうかがいました。これまで社会福祉関係者は、アダルトビデオに出演し、身体と精神がボロボロになり施設に入った女性たちの相談を受けてきました。宮本さんは関係者とともに「ポルノ被害と性暴力を考える会」を立ち上げ、被害者の相談を受け始めました。

ある19歳の女性は、最初タレントにならないかと声をかけられ、20歳まで数か月間ジムやレッスンに通わされました。そして、民法で契約できる20歳となり、ビデオ撮影を行うというときにアダルトビデオだと気づき、相談に来たということです。

最後に宮本さんは、被害者が訴えられなかったのは社会の偏見に沈黙させられているからであり、それは「慰安婦」問題と真摯に向き合えない社会の体質と通底しているとその背景を指摘しました。

日韓ブラジルの子どもたちが大交流

ロシア、韓国の市民と交流したアジアの船旅 ~第10回日韓クルーズ報告
国籍を超えた交流を楽しむ子どもたち(2017年8月6日、ピースボート船内にて)
今回のクルーズでは全体を通して、福島や韓国、ブラジルなど多くの子どもたちが乗船し、大交流が行われました。

「ふくしま子どもプロジェクト」として、今も原発災害の影響によりさまざまな困難を強いられている福島から、NPO「南相馬こどものつばさ」を通じて南相馬市の中高生11名が乗船。また、ブラジル領事館との共同プロジェクトとして日系ブラジル人の2名の子どもたちと大人4名が乗船しました。その他、一般の参加者として日韓からから多くの中学生以下の子どもたちが乗船しました。

船内では、韓国の子どもたちと環境問題について一緒に考えたり、お互いの言語を学んだりしました。そして、訪れた寄港地でも、文化、食事、歴史、環境、戦争など様々なテーマについて学ぶ旅となりました。

今クルーズは、日韓の市民がともに乗船する「PEACE & GREEN BOAT」の記念すべき第10回目となりました。これまで日韓関係では政府間の軋轢など困難な時期が多々ありましたが、日本のピースボート、韓国の環境財団が中心となり、日本、韓国のみならず、中国、台湾、ロシアなどの市民と交流を積み重ねてくることができました。これまでに生まれた交流の種が今後の東アジアの平和の礎となることを願っています。

第10回日韓クルーズ報告書

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